2016 Fiscal Year Annual Research Report
複合的・階層的な自動チューニングを実現する数理基盤手法の研究とライブラリの開発
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15H02708
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須田 礼仁 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (40251392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 昭宏 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 准教授 (10383986)
美添 一樹 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, ユニットリーダー (80449115)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自動チューニング / 高性能計算 / 性能モデル化 / d-spline / 代数的多重格子法 / モンテカルロ木探索 / 三角行列積 |
Outline of Annual Research Achievements |
複合的・階層的な自動チューニングにおいて、我々が開発しているベイズ的手法に適合する性能モデル化として、線形モデルと相関モデルを特定した。また、有効性が指摘されている一般的な線形モデル、ANOVA的な加法モデル、ガウス過程モデル、二次静的モデルを Fortran 風に記述したものからモデル化プログラムを自動生成するシステムを構築し、正しくモデルが構築できていることを確認した。また自動チューニングにおける実行時間のブレに関して、計算量の少ない離散スプライン(d-Spline)を用いつつ追加計測できる手法を提案した。実測した結果がd-Splineによる推定とかけ離れているときのみ再実測を行う。代数的多重格子法の代表的なひとつの性能パラメタの最適値推定問題に適用したところ、正しい最適値を求める精度が向上した。 また、多重格子法はパラメタが非常に多いため、強く限定された範囲で人手のチューニングがなされてきた。本研究では、ATMathCoreLibを用いることで100万通りのパラメタ組み合わせについて動作することを確認した。また将来的に重要となる解法や,代数的多重格子法の収束性を高める研究も同時に進めてきた。また探索アルゴリズムの応用にも引き続き取り組んだ。主にモンテカルロ木探索を RNA inverse folding や材料科学などに応用する研究を行い、既存の手法を上回る性能を得た。さらに、分散メモリ並列計算機上での一般固有値問題ソルバの最適選択について,実測時間を基に乱数のノイズを加えて多数の実験用データを生成し,ATMathCoreLib で選択を行った結果,乱数の標準偏差が40%程度と大きくても,選択肢が実行時間最短のソルバに収束することを確認した。また,Xeon Phi上での三角行列積について,系統的な性能評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度には、(1) 複合的・階層的な自動チューニングを統括する連携コア機構構築に向けた必要要件の明確化、設計方針策定、プロトタイプ作成、(2) 複合的・階層的な自動チューニングのための数理手法と評価、およびインタフェースの開発、(3) 並列数値計算における複合的・階層的な自動チューニングの試作と評価、の3項目の研究を計画していた。 このうち (2) の数理手法については、有用な手法を整理・分析し、これらの手法の共存可能性の分析、ライブラリの開発など、順調に進めることができた。しかし、これらの数理手法の開発に注力をしたため、(1) の連携コア機構についての研究は予定よりも遅れることとなった。(3) の並列数値計算における自動チューニングについては、我々の開発した手法の適用試験が進んでおり、数理手法とライブラリが完成すれば実際の問題に適用することができるようになる。そもそも (1) は本研究を開始してから必要性が発見された事項で、当初の開発計画には含まれていなかったことを考慮すると、全体としてはおおむね順調に研究が進捗していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成29年度にも、引き続き (1) 複合的・階層的な自動チューニングを統括する連携コア機構の研究、(2) 複合的・階層的な自動チューニングのための数理手法の研究、(3) 並列数値計算における複合的・階層的な自動チューニングの研究、の3つの項目で研究を推進する。このうち (2) と (3) が当初の研究項目で (1) は研究を開始してから明らかになった項目であることから、(2) と (3) を優先させて研究を進める。(2) については、数理手法は整理できたので、ライブラリを完成させ、これまでに我々が開発してきた自動チューニングのための逐次実験計画法であるワンステップ近似と連結させ、自動チューニング数理ライブラリ ATMathCoreLib の機能拡張として完成させる。(3) については平成28年度の成果に基づき、(2) で開発したライブラリを適用することにより、その有効性を検証する。新たな研究項目である (1) についても検討を進める。我々が提案している自動チューニングの枠組みである 4DAC を用いることで連携コア機構の必要要件、インタフェースなどの検討が進むものと期待している。ただしほかの項目に時間がかかるなどした場合には、当初の研究計画の内容を優先させて、連携コア機構については次の機会での研究テーマとして残すことも検討する。
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Research Products
(16 results)