2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H02714
|
Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
田中 章浩 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (80396530)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 社会性認知 / 多感覚統合 / 感情認知 / 自己主体感 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、社会心理学のみならず、認知科学や神経科学の分野においても社会性認知に対する関心が高まっている。社会性認知は自己と他者について適切に認識する能力を基盤として成立していると考えられる。本研究では、こうした社会性認知を支える低次のメカニズムとして多感覚統合に着目し、以下の点から研究を推進する。(1)他者に関する認知能力である感情認知を支える多感覚統合メカニズムの文化差の形成過程を検討する。(2)感情認知を支える多感覚統合メカニズムの個人差の形成過程を検討する。(3)自己に関する認知能力である自己主体感を支える多感覚統合メカニズムの文化差及び個人差を検討する。 初年度である平成27年度は、上記(1)に関する検討を進めた。すなわち、他者認知の一つである感情認知に着目し、感情認知を支える多感覚統合メカニズムの文化差の形成過程と可塑性について、視聴覚感情認知の発達実験を通して、日本人の声依存性が何歳頃から生じ始めるのかを検討した。実験には日本およびオランダの5歳から12歳の子どもが参加した。実験では、顔と声の感情が一致または矛盾する動画を呈示し、それが喜びと怒りのどちらを表現しているか参加者に判断させた。その結果、音声感情を選択した割合(以下、声選択率)は、大人では特に喜び顔が怒り声とともに呈示された場合にオランダ人よりも日本人の方が高いことが示された。さらに、この組み合わせにおける声選択率は5~6歳の時点では低く、日蘭間に差がみられないが、それ以降日本人においてのみ増加がみられた。この結果は、日本人にとって表情と音声感情の組み合わせに意味があり、さらにその文化特有の感情の表出および解読規則は児童期において年齢とともに獲得されることを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の予定通りに進展している。視線計測実験は予備実験が完了し、平成28年度初頭から本実験を開始している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ここまで順調に進展しているため、今年度も当初の予定通りに推進していく。
|
Research Products
(11 results)