2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H02748
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 理史 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30205918)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自然言語処理 / 文章読解 / 文章解析 / 文章生成 / 小説生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に、次の項目で成果を得た。 1.センター試験「国語」評論読解問題を解くプログラムを改良した。具体的には、これまでの機械学習に基づく方法において、語の重要度を加味した特徴を新たに導入するとともに、5択から正解を選ぶ過程を1段階から2段階(まず上位2位までを定め、最後にもう一度どちらを選ぶか決める)に変更した。これらの改良により、性能は統計的に有意に向上した。本年度も秋に、「ロボットは東大に入れるか」のフォーマルラン(公開性能評価)に参加し、評論読解問題8問中6問に正解した。 2.人狼知能プロジェクトから提供を受けた、コンピュータエージェントによる人狼ゲームのログをプロットとして活用し、短編小説を自動生成するシステムを作成し、制作した作品を第4回星新一賞に応募した。このシステムは、与えられたゲームログから重要な情報を抜き出した後、小説化のために不足している情報を補って文章化する。今回の作品は、コンピュータが作成したプロットをコンピュータが文章化しており、ある意味で小説生成の全行程が機械化できたことを意味する。 3.これまで作成してきた文生成ツールHaoriを抜本的に見直し、かつ、文章生成器GhostWriterの機能を一部取り入れて、より簡便に文や文章を自動生成できるHaoriBricksを設計・試作した。HaoriBricksは、ブロック玩具のように、小さな部品を組み合わせてより大きな部品を作ることが可能であり、これにより、単語から文、文から文章を組み上げることができる。さらに、HaoriBricksはプログラミング言語Rubyのライブラリとして実現されているため、Rubyプログラムとの連携が容易である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文章の読解に関する研究課題は計画より遅れているが、文章産出に関する研究課題は当初の計画よりも進んでいる。このように進行状況にでこぼこはあるが、全体としては、おおむね計画通りに進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
文章の読解に関する研究課題は、評論の記述式読解問題を新たな対象として、どのような基盤技術が必要かという点から洗い直し、突破口を開きたいと考えている。今井健仁の『現代文の解法』を参考に、それぞれの段落がどのような役割を果たしているのかを自動的に推測することを当面の目標とし、そのために必要な基盤技術の実現を目指す。 文章の産出に関する研究課題は、これまでの継続として、短編小説の自動生成を対象に、新たに「テーマ(たとえば、成長、友情、恋愛)」を導入し、そのテーマに沿った小説の生成に挑戦する。最終的な目標は、与えられた素材を与えられたテーマに沿って料理して文章化する技術の実現である。
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Research Products
(13 results)