2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H02774
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 慎一郎 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50372446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 博英 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (20423014)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオテクノロジー / 人工細胞 / 分子ロボティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新世代人工細胞の構築に向けた基盤技術を創出する.DNA/RNAナノテクノロジーによる新規な分子デバイスを設計して細胞に導入し,本来細胞が有しない新機能を付与することを目指している.本年度も引き続き,細胞に導入するための人工分子デバイス群のデザインと評価を行った.1)膜チャネル: デザインされた人工DNAチャネルについて,その構造に依存したチャネル電流のON/OFF挙動が確認され,学会発表で議論を深め,論文投稿準備中である.2)座標制御デバイス:齊藤Gで新規な立体構造を示すRNAナノデバイスの設計と開発を進め,構造と機能の評価を行った.3)膜造形:DNAオリガミ製デバイス単体での改良では変形挙動が予想より小さく,他のデバイスに注力するものとした.この知見は,次項目・膜リンカーの構築に生かされている.4) 膜リンカー:リポソームを用いた脂質膜内外からの合体デバイスを構築し,その評価を行った.その改良版をリポソーム内部に導入し,タンパク質製分子モーターを強固にリポソーム膜内側にリンクすることを試みた結果,運動性を示す構造を得ることが出来,さらに膜リンカーの結合をON/OFFする分子システムをDNAによって組み上げ,実際に働くことが示された.その成果を論文発表した.これら開発中の分子デバイスを一括して細胞内部に導入可能とするGUV-細胞融合法の開発を進め,実用面での進展があった.以上の研究内容に関して雑誌論文発表2件,国際会議論文発表2件,招待講演5件を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
膜チャネル,膜リンカー型分子デバイスの構築について進展があった.特に,細胞内での機能検証の前段階として,膜リンカー型分子デバイスを人工細胞構造内で働かせる試みを行い成功した.具体的には,膜リンカーと結合した分子モーターが細胞様構造の膜を内側から変形させる挙動のON/OFFをDNA分子信号によって制御することを可能にし,ScienceRobotics誌に報告した.この分子ロボットとも呼ぶべきシステムは凍結して輸送することが可能であるため,研究機関に配布して改良や発展させることも可能であるという特色がある.本成果はIEEE Spectrumをはじめ各国のTech系メディアによって注目されている.さらに,人工分子デバイスを細胞内に導入する手法について,実用性の向上に関わる進展があった.これについても論文投稿準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,分子デバイス(膜チャネル,座標制御,膜リンカー)の開発を進める.前年までの検討の結果,膜造形については,期待した出力が得られなかったため,他のデバイスに注力する.GUV-細胞融合の技術開発の進捗について論文投稿を行う.分子デバイスの細胞内標的指向性の向上を行う.本年秋に開催される「細胞を創る研究会9.0」において,本課題成果の一部を発表し,議論を行う予定である.得られた結果をまとめ,論文投稿を行う.
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Research Products
(17 results)