2015 Fiscal Year Annual Research Report
超微細空間の観察を可能にする次世代型MRI技術の開発
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15H02777
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
廣林 茂樹 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (40272950)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
微細空間の観察可能性についての検討を行った。MRI画像は測定された信号に対して窓関数を用いてフーリエ変換することで断層図を得ている。したがって、空間分解能を向上させるためには、分析窓の中に多くの周期が入ればフーリエ変換後の点像関数は鮮明になる。しかし、実際にはその窓の広さは勾配磁場の強度によって制限される。勾配磁場の強度を強くすると空間分解能が向上するが、同時にMRI装置の価格や維持費も大幅に上昇してしまう。そのため、各MRIの研究グループは分解能向上のため、パルスシーケンスや信号収集法の改良などに注力しているのが現状である。しかし、そのどれもが原理的なフーリエ変換で制約される分解能以下にできるものではなく、抜本的な解決には至っていない。この問題を解決するため、極限的な周波数分解能を有するNHAを用いて、この分野の問題を本質的に解決する技術を確立することを行った。 一般に、正弦波1本で構成される信号をFFTで変換すると、分析窓の影響で本来存在しないスペクトルが複数群れて現れる(側帯波)。一方、NHAでは、側帯波が全くでない。つまり、NHAで正確にスペクトルを推定すれば、FFTで表現できなかったスペクトルを正確に表現できる。本質的に信号を正確に解析できれば、これまで鮮明に表現ができなかった微細領域の構造を鮮明に表現できる。 申請者は既に、NHAをMRIへ応用する可能性を検証しており、MRIで利用されている2次元FFTをNHAに置き換え、点や線で正確に高精細断層画像を表現できる可能性を示した。さらにNHAを応用して、既存のMRI画像より微細な領域の可視化について検証を行った。MRIでは、計測データの大きさが磁場強度に依存し、FFTの分解能は計測データの大きさによって決定される。そのため、既存のMRIでは、FFTの分解能よりも微細な対象を可視化するには、補間や近似を用いて分解能向上を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年9月、評価実験に伴うファントムデータの作成で、離散データの量子化ノイズが、再構成画像に与える影響が想定以上に大きくなることがわかった。研究の遂行上、この現象の本質を見極めることが不可であることから、この影響を軽減するために地場強度提言信号に用いる計算法の改良の必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の、2点に関して検討を行う予定である。 (1)マクロブロックを利用した任意ブロック高精細拡大技術の開発 ユーザーが注目する任意の領域について拡大し、微細な領域を可視化し提示するシステムを開発する。MRIはNMR(核磁気共鳴)現象を利用し、水素原子核の減衰エネルギーを信号として取得している。減衰信号は振幅に関して変化し続けているが、周波数特性に関しては全領域で一定になっている。このことから、計測データの一部を抽出し正確に解析することで、画像の任意領域を可視化することが可能である。計測データから、マクロブロック単位で任意領域の情報を抽出し、NHAによる解析で高精細拡大画像の提示をめざす。 (2) MRI計測データのフィルタバンク化 この技術を発展させ、抽出したマクロブロックからフィルタバンクを作成する。フィルタバンクは信号処理分野で広く利用されおり、特定の帯域の計測データのみを解析し、ノイズ耐性を高めることでより鮮明な画像を提示できる。しかし、フィルタバンクはマクロブロック単位の計測データを集積するため、FFTによる解析では分解能が不足し、拡大画像を表現することは不可能である。そこで、高精度解析法であるNHAを用いて、分解能の向上と正確な解析を行うことで、1回の計測データから、全体画像と拡大画像の両方を提示できる。また、フィルタバンク化することで、GPUの並列計算処理などを利用した組み込み型高速計算システムの開発も可能となる。
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