2016 Fiscal Year Annual Research Report
衛星搭載アクティブ・パッシブセンサーデータの複合利用による全球エアロゾル解析
Project/Area Number |
15H02808
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
西澤 智明 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 室長 (10462491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 玲 気象庁気象研究所, 気候研究部, 研究官 (00414508)
岡本 創 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (10333783)
日暮 明子 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (20311326)
入江 仁士 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 准教授 (40392956)
青木 一真 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (90345546)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エアロゾル / ライダー / 分光放射計 / 衛星観測 / 地上観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に以下3項目に取り組んだ。 (1)地上観測ネットワークAERONETで得られたエアロゾルの微物理特性(粒径分布や屈折率等)や光学特性(ライダー比、一次散乱アルベド等)をクラスタリング手法で統計解析し、全球平均的なエアロゾル種毎の微物理・光学特性を精緻化すると共に、地域毎(アフリカ域、欧州域、洋上等)のモデル化を研究計画に沿って進めた。また、本課題ではブラックカーボン(BC)成分の導入は計画されていないが、本課題の発展として、BC成分を核として水溶性物質により皮膜されたより現実に近いBC光学モデルCore-gray-shell model (Karnert et al. Opt. Exp., 2013)を検討した。構築したモデルとクラスタリング結果との比較や、単体及び複合アルゴリズムへの組み込みを企図し、本光学モデルの構築を行った。
(2)CALIOP単体アルゴリズムによる3種エアロゾル(鉱物ダスト、海塩粒子、大気汚染粒子)の全球推定、およびCALIOP/MODIS複合アルゴリズムによる3種エアロゾルおよびそれらの粒径の全球推定を進めた。来年度での本格解析への準備として、今年度はアルゴリズムの自動解析システムや推定データの処理システムの構築・整備を行い、長期データ解析への礎を築いた。また、推定値と地上・衛星観測データとの比較のための処理システムの構築を進めた。
(3)地上ライダーネットワークAD-Netおよび地上放射観測ネットワークSKYNETによる観測を継続し、地上観測データの整備を進めた。また、CALIOPおよびMODISの衛星観測データの集積とそれらのデータセット化、そしてCALIOP-MODISマッチアップデータの構築を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は主に以下4項目を研究計画とした。 ①エアロゾル微物理・光学特性の構築、②単体・複合アルゴリズムによる全球解析、③地上観測および地上・衛星観測データの整備、④MODISデータを用いたエアロゾル推定範囲の拡張手法検討。
①から③に対しては順調な進捗となった。特に①に対してはブラックカーボンの内部混合モデルの検討を進め、当初計画を超えて実施した。④は、複合アルゴリズムの発展を企図した解析手法の開発・検討という性質から、単体・複合アルゴリズム解析の進行を優先させることとした。よって、今年度は実施せず来年度実施することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究進捗は概ね良好である。よって、大幅な研究計画の変更はない。また、研究分担者の変更も予定していない。今後も研究計画に沿って実施していく。平成29年度は、平成28年度の研究成果を利用して主に以下5項目の研究を実施する。 (1)引き続き、CALIOP単体及びCALIOP/MODIS複合アルゴリズムで用いるエアロゾル種毎の光学モデルの構築を行う。光学モデルの精緻化(全球、地域)を進め、モデルの高度化を進める。特に、鉱物ダストの非球形性および強光吸収性エアロゾル(ブラックカーボン)の内部混合を取り入れたモデルの高度化を進める。 (2)引き続き、CALIOP単体・CALIOP/MODIS複合アルゴリズムによる全球エアロゾル解析を進める。今年度構築した解析システムを用いて長期データ解析を行い、地上や衛星データとの比較を行う。 (3)引き続き、地上観測および地上・衛星データの整備を行う。 (4)衛星データから推定したエアロゾル光学特性値をデータセット化する。これらのデータを公開し、成果の波及と拡大に努める。 (5)昨年度実施に至らなかった、MODISデータを利用したエアロゾル推定範囲の拡張手法を検討する。CALIOPは地上フットプリント70mの水平観測幅で衛星進行方向に沿って測定する。一方、MODISは、2300kmの水平観測幅を有す。開発した複合解析アルゴリズムでは、CALIOPとMODISの同期地点でのエアロゾル光学特性を推定するため、CALIOPの水平観測幅(70m)に縛られる。そこで、先行研究で開発された手法の改良も視野に入れ、水平方向の推定範囲を拡張する解析手法を検討し、複合アルゴリズムを更に発展させる。
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Research Products
(20 results)