2016 Fiscal Year Annual Research Report
転写と共役したヌクレオチド除去修復の分子機構の解明
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15H02820
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西條 将文 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (90221986)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヌクレオチド除去修復 / 紫外線 / コケイン症候群 / 紫外線高感受性症候群 / ユビキチン化 / SUMO化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、転写と共役したヌクレオチド除去修復(TC-NER)の分子機構を解明することであり、平成28年度は以下の研究成果が得られた。 1.UVSSA欠失変異体を数種類作製し、発現細胞を樹立した。それらの細胞で紫外線感受性と紫外線照射後のRNA合成の回復を調べることにより、TC-NERに必要な領域を決定した。UVSSAのC末端領域もN末端領域と同様にTC-NERに必須であった。また、それらの変異体と他のTC-NER因子との相互作用を調べ、各因子との相互作用が重要であることが明らかになった。 2.UVSSAは大腸菌で発現させると大部分が不溶性になり精製タンパク質の調製が困難であったが、バキュロウイルス発現系により精製法を確立した。USP7とUVSSA-USP7複合体についても同様に精製法を確立した。 3.UVSSA欠失変異体でユビキチン化の有無を調べてユビキチン化される領域を特定し、1アミノ酸置換体を作製してユビキチン化されるリジン残基を同定した。ユビキチン化されない変異体の解析により、このリジン残基でのユビキチン化がUVSSAの分解ならびに紫外線抵抗性に関与することが明らかになった。 4.CSAのC末端欠失変異体を作製し、C末端領域がTC-NERに重要であることが明らかにした。これらの変異体はDDB1と結合しユビキチンリガーゼ複合体を形成することができたので、C末端領域は基質タンパク質やTC-NER因子との結合に寄与すると考えられた。 5.紫外線照射後にSUMO化されないCSB変異体の解析により、CSBのSUMO化がTC-NER因子との相互作用に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.RNAポリメラーゼII, TC-NER因子の機能解析:平成28年度はUVSSAについて主に解析が進んだが、RNAポリメラーゼII, CSA, CSBについても実験を行っており結果を得つつある。おおむね順調に進展している。 2.TC-NER因子間の相互作用の解析:UVSSAと他の因子との相互作用の意義については研究がかなり進展した。また、USP7との相互作用について解析できる変異体を作製できた。CSAについても変異体を解析中である。RNAポリメラーゼIIへのTC-NER因子の相互作用を解析するためには多量の転写活性の高いRNAポリメラーゼIIが必要であり、精製を進めている。CSA, CSB, UVSSA-USP7については精製法が確立できた。おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
CSBのSUMO化欠損変異体を発現する細胞とRNAポリメラーゼIIのユビキチン化欠損変異体を発現する細胞で一部共通する解析結果が得られているので、SUMO化とユビキチン化の関連についてさらに検討する。 USP7が結合しなくても分解されないUVSSA変異体が得られたので、USP7との相互作用の意義を明らかにする。また、USP7の脱ユビキチン化活性がどのようにTC-NER因子の安定性に関与しているかについて解析する。 いくつかの実験系で必須となる転写活性の高いRNAポリメラーゼIIの調整法を確立する。 研究全体として、個々の解析結果がそれ以外の部分と関連してくるので、平成28年度に得られた結果をフィードバックして研究を進展させる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] DGCR8 Mediates Repair of UV-Induced DNA Damage Independently of RNA Processing.2017
Author(s)
Philamer C. Calses, Kiranjit K. Dhillon, Nyka Tucker, Yong Chi, Jen-wei Huang, Masaoki Kawasumi, Paul Nghiem, Yemin Wang, Bruce E. Clurman, Celine Jacquemont, Philip R. Gafken, Kaoru Sugasawa, Masafumi Saijo, Toshiyasu Taniguchi
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 19
Pages: 162-174
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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