2015 Fiscal Year Annual Research Report
有機スズによる核呼吸因子-1低下を介した神経毒性解明
Project/Area Number |
15H02826
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古武 弥一郎 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(薬), 准教授 (20335649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 茂 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(薬), 教授 (60160503)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有機スズ / 核呼吸因子-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、脳に常在する濃度付近の低濃度有機スズが、核呼吸因子-1 (NRF-1) という転写因子を低下させることにより、グルタミン酸受容体サブユニットGluR2発現を減少させ、神経細胞を脆弱化することを明らかにしてきた。そこで本研究では、低濃度有機スズ神経毒性の鍵を握ると考えられるNRF-1低下が何故惹起されるかを神経細胞レベルで解明する。それと同時に、NRF-1低下によるin vivo神経毒性を解析し、有機スズによるNRF-1低下を介した新規神経毒性メカニズムを明らかにすることが本研究の目的である。
今年度は有機スズの毒性ターゲットであることを示す前段階として、不明な点の多いNRF-1の機能を調べる目的で、NRF-1の過剰発現プラスミドを構築し、HEK293細胞およびSH-SY5Y細胞にトランスフェクションを行い経時的に細胞を観察し、生存率その他を調べた。また、NRF-1が制御していると報告されているシトクロムc、COX6、TFAM、TFB1M、eIF2αなどの下流遺伝子発現を調べた。
その結果、NRF-1 mRNAおよびタンパク質は過剰量発現していたにもかかわらず、予想に反して下流遺伝子の発現は抑制され、細胞死が認められた。現在発現量をコントロールしたり、転写共役因子を発現するなどしてNRF-1過剰発現による影響を調べるとともに、ノックダウン実験を行いNRF-1が失われた際の影響についても検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで不明な点の多かった核呼吸因子-1 (NRF-1) の機能の一部が明らかになりつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の主要部分である有機スズがNRF-1活性低下を起こす原因を、NRF-1の転写共役因子PGC-1αに着目して調べ、有機スズの既知の分子メカニズムであるPPARγアゴニスト作用によるものであるか否か検討を行う。また平行してNRF-1低下のin vivo神経影響についても基礎検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)