2016 Fiscal Year Annual Research Report
近年の皮膚がん増加における化学物質・紫外線複合曝露の寄与
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15H02828
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊吹 裕子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (30236781)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 化学物質 / ヒストン / 紫外線 / 複合曝露 / たばこ煙 / DNA損傷 / DNA修復 / NER |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、化学物質によるヒストン修飾変化と、紫外線によるDNA損傷生成・修復との関わりを細胞レベルで明らかにし、それを実験動物で実証することにより、近年の皮膚がん増加の原因解明に貢献することを目的としている。本年度は、これまでの検討でヒストン修飾変化が認められた化学物質に加え、多環芳香族炭化水素等について検討を進めた。また、マウス皮膚にたばこ煙サンプルを塗布し、紫外線照射後のDNA損傷生成・修復率を測定した。 Benzo[a]pyrene (BaP)ならびにその酸化体を培養細胞に作用後、ウエスタンブロット法を用いて、ヒストンH3の修飾(リン酸化Ser10,28, アセチル化Lys9,14, ジメチル化Lys9,トリメチル化Lys4,27)、ヒストンH2AXのリン酸化を検討した。ヒストンH2AXのリン酸化Ser139は、BaPでは検出できなかったが、BaP酸化体では時間依存的に増加した。また、BaP単独では修飾パターンの変化はほとんど認められなかったが、各BaP酸化体作用後、明らかなヒストンH3K9, K14, globalなアセチル化、H3K4, K9, K27メチル化状態の変化が認められた。 マウス皮膚にたばこ煙を塗布し、UVBを3MED照射後、0, 24, 36時間に皮膚を採取し、cyclobutane pyrimidine dimers (CPDs)抗体で組織免疫染色を行った。CPDsの生成はたばこ煙の有無にかかわらず同じであったが、時間経過後のCPDsの残存数がたばこ煙作用した皮膚において多かったことから、たばこ煙作用による修復抑制が考えられた。以後、たばこ煙以外の化学物質についても同様に検討を進めていく予定である。また、この原因がヒストン修復変化と関連しているのかどうかをin vitroにおいて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vivoにおけるヒストン修飾検出の予備検討を前年度に引き続き行ったが、ヒストンH2AXリン酸化以外は上手くいかなかった。抗体の種類を変化させ現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
化学物質のヒストン修飾検出(in vitro)については、さらに化学物質の種類を増やして検討していく。in vivoでたばこ煙による明らかなDNA損傷修復遅延が認められたので、そのメカニズム、特にヒストン修飾との関連性をさらにin vitroで検討していく。また、化学物質と紫外線の複合曝露時の腫瘍形成率を検討するために、予備的検討から行っていく予定である。
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Research Products
(9 results)