2015 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性の価値評価における熟議の役割と保全政策への応用
Project/Area Number |
15H02867
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗山 浩一 京都大学, 農学研究科, 教授 (50261334)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 伸幸 京都大学, グローバル生存学大学院連携ユニット, 特定准教授 (30742605)
坂井 豊貴 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (50404976)
庄子 康 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (60399988)
柘植 隆宏 甲南大学, 経済学部, 教授 (70363778)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 環境評価 / 環境経済学 / 生物多様性 / 国立公園 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物多様性の価値を環境政策に反映することが政策課題となっているが、生物多様性に対する関心は人によって大きく異なるため、生物多様性の価値評価は容易ではない。従来の環境評価では、人々がすでに環境に対する価値を形成していることを前提とした上で環境保全に対する支払意思額を人々にたずねて価値を評価している。しかし、生物多様性の場合は、そもそも生物多様性という概念自体を知らない人も多く、生物多様性に対して明確に価値観が形成されているとは言いがたい状況にある。そこで本研究では、対話や討論をもとに環境の価値を評価する「熟議型貨幣評価」に着目し、熟議の中で他者の意見を参考にしながら生物多様性の価値が次第に形成されるプロセスを明らかにすることで、生物多様性の価値を環境政策に反映する方法を示すことを目的とする。 本研究では、生物多様性の価値評価における熟議の役割を分析するために、奄美群島および知床国立公園を対象に実証研究を行った。現地調査により生物多様性保全の現状と課題を明らかにするとともに、熟議型貨幣評価の理論モデルを検討した。熟議型貨幣評価では、熟議の前後で選択実験を行い、熟議によって生物多様性の価値がどのように変化するかを定量的に計測する。そして、熟議の評価結果をもとに大規模なWeb調査を実施することで、熟議型貨幣評価と、熟議を用いない従来の環境評価を統合し、生物多様性の保全策を評価する新たな手法を開発する。この新たな評価手法を用いて奄美群島および知床国立公園の政策を評価し、今後の生物多様性保全政策に向けた具体的な提言を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度に実施予定の理論分析と予備調査の調査設計に時間を要したため,翌年度に延期することになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
熟議型貨幣評価では、熟議の前後で選択実験を行い、熟議によって生物多様性の価値がどのように変化するかを定量的に計測する。そして、熟議の評価結果をもとに大規模なWeb調査を実施することで、熟議型貨幣評価と、熟議を用いない従来の環境評価を統合し、生物多様性の保全策を評価する新たな手法を開発する。なお,平成27年度に実施予定の理論分析と予備調査の調査設計に時間を要したため,翌年度に延期することになった。
|
Research Products
(7 results)