2015 Fiscal Year Annual Research Report
小腸上皮多糖受容体を介した自然免疫修飾を利用した健康増強に資する高機能性食品開発
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15H02897
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水野 雅史 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00212233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 康仁 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60263399)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小腸上皮細胞 / 樹状細胞 / Th1/Th2バランス |
Outline of Annual Research Achievements |
レンチナンの小腸への影響を確認するため、レンチナンの経口または経肛門投与によるDSS大腸炎による体重減少における影響を検討した。DSS大腸炎による体重減少が、レンチナンを経口投与または経肛門投与することで有意に抑制された。しかし、レンチナンの経肛門投与と経口投与を比較すると、経口投与の方が強い抑制効果を示していた。また、DSS大腸炎によって結腸で増加したサイトカイン発現についても、レンチナンの経口投与群では全てのサイトカインで抑制傾向を示した。このことから、レンチナンは小腸を介することでより強い抑制効果を発揮することが示唆された。DSS大腸炎の発症や病態にTh1/Th2サイトカインが関与していることが報告されていることから、代表的なTh1/Th2サイトカインであるIFN-γとIL-4 mRNA発現の回腸での変化を測定したところ、レンチナンの経口投与群のみでIFN-γの増加傾向とIL-4の減少傾向が見られた。しかし、この変化はDSS大腸炎が緩和したことによる二次的な変化である可能性も考えられたため、DSS大腸炎を起こさないマウスでも同様の現象が見られるのかを検討したところ、レンチナンの経口投与によって回腸でのIFN-γ mRNA発現の有意な増加と結腸での増加傾向が認められたが、レンチナンの経肛門投与では回腸と結腸の両方とも増加は認められなかった。さらに、IFN-γ産生細胞であるヘルパーT(Th)1細胞のマーカー遺伝子Tbx21と、Th1細胞の誘導に必要なIL-12のmRNA発現も経口投与群の回腸で増加した。これらのことから、レンチナンは先行研究で明らかになっている結腸での作用に加えて、回腸でのTh1型の免疫応答を増強して腸炎を抑制しているという新規の抑制機構を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画していたDSS誘導腸炎モデルマウスを用いた実験で、レンチナンに抑制効果が見られたので、進捗状況としては当初の予定通り進んでいると思われる。それに加えて、投与法によりレンチナンの効果が異なることが明らかとなって点は、予想していた作用機序と異なる機構が考えられ、レンチナンが有する新たな抑制機構の手がかりが見出されたので、計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
DSS誘導腸炎モデルマウスにおける結腸での炎症抑制機構と回腸での抑制機構を明らかにすることで、レンチナンが有する新規機能を明らかにし、回腸での炎症認識が結腸に伝達されるかどうかを明らかにする。
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Research Products
(6 results)