2016 Fiscal Year Annual Research Report
Solution and preparation to collect and archive movie data in natural history museums
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15H02955
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
石田 惣 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 学芸員 (50435880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪田 慎司 帝京科学大学, 生命環境学部, 教授 (50350814)
中田 兼介 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (80331031)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 映像 / 自然史 / データベース / 生物多様性 / アーカイブス / 著作権 / オープンデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究者への聞き取りによる課題の抽出】動画を一次データとして用いる生物学研究者へのアンケート調査を前年度に引き続き行った。最終的に45名の有効回答数を得た。動画を標本としてリポジトリするしくみは9割以上が利用したい(条件付きを含む)とし、動画標本群があるとすれば5割以上の研究者は自身の研究に役立つ(部分的を含む)とした。提供した動画について第三者に許諾できる利用形態を尋ねると、博物館での展示や教育目的には寛容だが、ネット公開、営利目的、目的が予想できない利用には抵抗が強く、意図しない編集や改変を伴う利用への懸念が認められた。 【アナログ動画の保管・デジタル化と課題の抽出】動画のアーカイビングの実務や研究活用に伴う課題を抽出するため、海洋研究開発機構と千葉県立中央博物館を訪問しヒアリングを行った。動画に記録された生物種の同定作業は労力がかかるものの、人材育成と入力環境を整えれば必ずしも専門家が担う必要はないこと、連続録音された環境音声のメタデータの記述方法、音声記録媒体の変遷にともなう再生機器の維持の課題、著作権処理手続きなどの情報を得た。 【デジタル動画のテスト収蔵と課題の抽出・動画の収蔵の試行・メタデータの策定】収蔵動画のメタデータとしてGBIFに対応する形式を検討し、映像資料のデータベース構築作業を行った。また、動画標本として収蔵することを目的として、自然史に関連する映像の撮影を行った。 【公開シンポジウムの開催】 公開シンポジウム「生物学における動画・音声データのアーカイブ - その意義と課題」を2017年3月5日に開催した。動画・音声データを体系的に収集・収蔵する機関や研究者から最前線の事例を紹介してもらい、その意義と課題を整理しつつ、近年進歩する映像認識技術などの適用も含めた将来展望について議論した。 【その他】動画データベースサーバの接続環境を整え、そのテストを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究者へのアンケート調査結果の解析は予定通り進んだ。研究機関・アーカイブスへのヒアリングは一部予定していた訪問を延期したが、課題探求には大きく影響していない。未訪問の機関は平成29年度中に訪問予定である。所蔵アナログ動画のデジタル化はほぼ完了した。動画のデータベース化の作業(メタデータの付与など)は平成29年度も引き続き行う必要がある。動画の利用許諾条件の策定やリーガルチェックは当年度中に行えなかったが、平成29年度前半に行うよう進める。公開シンポジウムは予定通り開催できた。映像資料収蔵に関わる課題認識については想定通りの成果を得るとともに、機械学習による映像認識技術の応用可能性についても情報共有する成果があった。
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Strategy for Future Research Activity |
【収蔵動画のメタデータの策定】動画のデータベース構築作業と並行して、標準的なメタデータセットを確立する。動画に付随するデータ(例として実験条件や研究者の観察情報など)の格納方法についても検討を行う。 【動画の利用許諾の条件策定】収蔵動画の利用許諾及び著作権処理の標準的な条件策定を行う。この策定にあたっては、法務専門家に協力を仰ぐことも検討する。クリエイティブ・コモンズの許諾条件の利用可能性も引き続き検討する。 【動画の収蔵システムの稼働】【博物館向け手引きの作成・広報】動画の収蔵システムの稼働版を作成する。第一段階では館内公開とし、かつ動画の収集・収蔵を行う他の博物館でもそのまま導入できるレベルのものとする。これを踏まえて、導入する博物館向けに動画の収集・収蔵・利用公開の実務に関する手引きを作成し、広報を行う。必要に応じて関連学会の大会を利用したり、集会開催などを行う。 【収蔵動画の展示でのテスト利用】収蔵動画を実際に博物館で利用するテストとして、大阪市立自然史博物館で当年度の夏に開催予定の特別展での映像利用を行う。これにより、権利処理などのワークフローの確認を行い、博物館向け手引きにも反映させる。 【収蔵動画の公開システムの構築・稼働】動画の収蔵システムについて、権利処理やセキュリティに関する問題点をチェックしたのち、ウェブ公開に移行する。
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Research Products
(5 results)