2015 Fiscal Year Annual Research Report
錐最適化技術の実社会における利活用を加速させる基礎理論の整備と深化
Project/Area Number |
15H02966
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉瀬 章子 筑波大学, システム情報系, 教授 (50234472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 誉人 筑波大学, システム情報系, 教授 (00205113)
繁野 麻衣子 筑波大学, システム情報系, 教授 (40272687)
八森 正泰 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00344862)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 錐最適化 / 半正定値計画問題 / 線形計画問題 / 半正定値基 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,錐最適化手法の実社会への応用を加速させるために,克服すべき3つの重要な課題【課題1】 自己双対性を持たない錐上の最適化における双対手法の開発,【課題2】 分枝限定法の適用において計算効率性を左右するホットスタート技術の開発,【課題3】 組合せ最適化問題に対する凸錐緩和において重要な低ランク解の導出 についてそれぞれ独自性の高い解決策を提案することを目的としている.平成27年度は,各課題に対して以下のような成果が得られた. 【課題1】について:提案する手法の着想は,自己双対性を有する半正定値錐のよい性質を活用することにある.この半正定値錐の中に,対称行列空間の基底を,固有値分解と同じ手間で算出できる新規性の高い手法と,さらにそれを用いた錐最適化問題の線形最適化近似手法を提案した.その有効性を計算機実験を用いて検証したところ,ある種の困難な錐最適化問題に対しては非常に有効であることが確かめられ,十分な成果を得ることができた. 【課題2】について:平成27年度に課題1が予想以上に進展したため,課題2の推進に十分な時間を割くことができなかったが,平成28年度は,内点法から平滑化法にシフトする際に有効な各種パラメータの理論的な導出などに取り組みたいと考えている. 【課題3】について:低ランク解の導出が有効であるとされる,協調フィルタリング問題の核ノルム緩和を用いた錐最適化問題に取り組んだ.協調フィルタリングは一部のデータの値から他のデータの値を推測する手法であり,レコメンデーションシステムなどにも活用されている.ランク関数が局所的に核ノルムで緩和されることを用いて導出された錐最適化問題の計算機実験を行い,その精度を検証すると共に,さらにその精度を上げるための独自のモデルも提案し,その有効性を検証した.これらは核ノルム緩和と低ランク行列の関係を議論する上で有益な情報を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように,課題2については若干遅れてはいるが,課題1については予想以上に,また課題3については順調に成果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
概要で述べたように,課題1については予想以上に,また課題3については順調に成果が得られており,平成28年度も同様に進めて行く予定である. 課題2については,まず理論的な性質の導出を行い,計算機実験で検証を行う予定である.
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Research Products
(11 results)