2015 Fiscal Year Annual Research Report
視覚情報に基づく快適・安全・有用な都市空間の設計に関する数理的研究
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15H02974
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
栗田 治 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40211891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 公太郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20262123)
本間 裕大 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (40514055)
本間 健太郎 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (90633371)
鵜飼 孝盛 東海大学, 医学部, 助教 (20453540)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市計画・建築計画 / 地理情報システム(GIS) / 人間生活環境 / オペレーションズ・リサーチ / 視覚情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,研究計画に沿って,以下の課題について研究を推進した. 1. 走査線ベクトル法を用いた大規模GIS データに基づく都市空間評価: 視覚情報に基づく都市空間評価法としてよく知られた走査線ベクトル法を用い,大規模GIS データに基づく,ランドマークの都市景観評価を行った.走査線ベクトル法は,原理こそ単純なものの,都市には膨大な数のオブジェクトが存在するゆえ,ある対象が見えるのか見えないのかを判別するには多大な計算量となる.実施者らは,計算幾何学の観点からアルゴリズムの高速化を行うことによって,100万オブジェクト×10万地点からの“見え(立体角)”を実用的な計算時間で分析するツールを設計した. 2. 都市防災・防犯への応用展開: 防犯・防災では,都市内で生じる異常な事態に対する監視が有効である.ランドマークを都市内各所から視認できるのであれば,そこへ何らかの情報を提示することによって,人々の誘導を促すことも可能になる.そのような観点から,実施者らは,上述のツールと新たな津波避難行動モデルを組み合わせることによって,災害時における迅速な避難誘導の可能性について検証した. 3. 建築設計に寄与する数理的分析: 建築設計においては,建蔽率・容積率・斜線制限・日影規制といった種々の建築形態に関する法規制を遵守する必要がある.これらの建築法規は,いずれも長年改正されていない古典的な法規制であり,建築設計に対し,如何なる影響を与え得るのか,正確な評価が必要と考える.一方で,近年では,天空率による規制緩和等も行われ,より視覚情報の重要性が高まっている.以上の観点から実施者らは,斜線制限と天空率緩和を基本制約条件とした上での,建築物最大ボリューム導出問題を解析した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,視覚情報に基づく都市空間の設計に関する数理的分析として,1.ランドマークの視認性評価ツールの開発と,2.防災研究への展開を見据え視認性評価ツールと組み合わせる津波避難行動モデルの構築,そして3.天空率緩和を対象とした建築法規制約下での,設計最適化問題を定式化した.これらは,研究計画で目指していたものと,おおむね近い分析ならびスケジュールである.特に構築した視覚情報ツール等は,次年度以降の研究を遂行するためにも,極めて有益なものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究遂行は,ほぼ計画通りのものであった.次年度以降も,研究計画に沿って,視覚情報に基づく調査・研究,実データに基づく数理的分析を行う.本年度に構築した数理分析ツール,ならびに購入した3Dプリンタを,積極活用し,より示唆に富む知見の獲得を目指し,得られた成果の学会報告・論文投稿などによる,研究の推進を目指す.
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