2016 Fiscal Year Annual Research Report
視覚情報に基づく快適・安全・有用な都市空間の設計に関する数理的研究
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15H02974
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
栗田 治 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40211891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 公太郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20262123)
本間 裕大 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (40514055)
本間 健太郎 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (90633371)
鵜飼 孝盛 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (20453540)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市計画・建築計画 / 地理情報システム(GIS) / 人間生活環境 / オペレーションズ・リサーチ / 視覚情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,研究計画に沿って,以下の課題について研究を推進した. 1. 立体角の解析的導出に基づく都市空間評価: 視覚情報に基づく都市空間評価法としては,立体角の導出が知られている.研究実施者らは,具体的な都市空間評価の一例として,街路空間における緑視率に着目し,その立体角の解析的算出を行った.道路端に植えられた街路樹を想定し,それらを平面および球体の両方で近似した上で,視点と街路樹の位置関係が立体角にもたらす変化を考察した. 2. 建築空間に対する視覚情報観点からの基礎的評価: 例えば,美術館など,視覚情報の提供を主目的とした建築空間には,本研究で提案しているような立体角などの数理的アプローチが有効である.そこで研究実施者らは,具体的な建築空間での展示物として絵画を設定し,その視覚的評価について,実験的手法・数理的手法の両面から,考察・解析を行った.その過程では,50人規模のアンケート調査を行うことによって,視覚認識に関するパラメータ推定も実施している.これらの分析結果は,建築空間の要素評価という観点から有効であり,それに基づく建築空間設計への展開が見込まれる. 3. 建築設計に寄与する数理的分析: 建築設計においては,建蔽率・容積率・斜線制限・日影規制といった種々の建築形態に関する法規制を遵守する必要がある.一方で,近年では,天空率による規制緩和等も行われ,視覚情報を,これまでにも増して活用する重要性が高まっている.そこで研究実施者らは,昨年度に引き続き,とくに斜線制限とその天空率緩和の数理的関係について,容積率と建物高さの両面から比較評価を行った.敷地の縦横比や道路幅員を様々に変化させ,セットバック規制がもたらす有効性についても,分析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,視覚情報に基づく都市空間の設計に関する数理的分析として,1. 立体角の解析的導出に基づく都市空間評価と,2. 建築空間に対する視覚情報観点からの基礎的評価,そして3. 建築設計に寄与する数理的分析を実施した.これらは,研究計画で目指していたものと,おおむね近い分析ならびスケジュールである.昨年度,開発した視覚情報解析ツールに加え,立体角の解析的導出手法,視覚情報感覚に対するパラメータ推定,建築法規制への視覚情報的分析,という本年度展開した新たなるツールを最大限に活用し,最終年度における統合的な研究成果の取りまとめを目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究遂行は,ほぼ計画通りのものであった.最終年度も,研究計画に沿って,視覚情報に基づく調査・研究,実データに基づく数理的分析を行う.本年度までに構築した数理分析ツール,ならびに購入した3Dプリンタを,積極活用し,より示唆に富む知見の獲得を目指し,得られた成果の学会報告・論文投稿などによる,研究の取りまとめを目指す.
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Research Products
(13 results)