2015 Fiscal Year Annual Research Report
流れの三次元性と構造物や海岸林の破壊を考慮した多重防御手法に関する研究
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15H02987
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
田中 規夫 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80323377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木澤 順治 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (70549998)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 津波 / 多重防御 / 潟湖 / 二線堤 / 防潮林 / バイオシールド / Eco-DRR |
Outline of Annual Research Achievements |
生態系を基盤とした防災・減災の必要性が唱えられているが、樹林帯効果以外の定量的な知見は少ない。潟湖などの自然要素と堤防、樹林帯を組み合わせた多重防御効果の評価が必要である。本年度は、1)海岸林の減災機能を強化するための盛土や人工堀との組み合わせ手法、2)海岸堤防からの越流量を減らし減災効果を高めるための樹林帯の位置(堤防の前後)や二線堤に関する実験、3)生態系要素として浜堤を越えて潟湖に進入する津波の減勢効果に関する解析を行なった。実験では、定常流水路に様々な多重防御構造を配置して水路実験を行い、流況の相違を跳水現象に注目し詳しく分類した上で、多重防御構造を津波が通過する前後で津波のエネルギー減少率を算出し、減衰効果を評価した。二線堤の構造について単体の堤防構造との比較から、その効果を二線堤の高さ、第一堤防と第二堤防の距離などから明らかにした。流れの構造を分類する指標を津波の運動量と堤防間に貯留可能な体積を基に定義し、内陸側の堤防の距離と高さについて有効な構造を検討した。堤防と海岸林の組合せでは、非定常水路を用いて急開ゲートにより津波を模擬した流れを発生させ、越流量の変化、反射率の変化等から堤防前面部の樹林帯の有効性を確認した。特に前面樹林帯では樹林帯幅が薄い場合や、樹木が倒伏した場合においてもその効果を定量的に評価した。潟湖の効果を解析するモデルを作成し、東北地方太平洋沖地震津波の被害を受けた鳥の海周辺に当てはめた結果、津波進行方向によって、津波の減勢効果には大きな差があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年目に行なう予定の数値解析のための詳細な地盤高データの取得は遅れているが、その分、1年目は多重防御に関する水理実験を精力的に行っており、初期成果は十分に得られている。浮遊物や地形変化についても初期成果は得られているので、2年目にデータを充実させる予定である。三次元モデルについては、1年目は予定通りモデルのレビューと構築準備を行っている。全体としては概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目にやや遅れが見られた現地データの取得については、解析すべき地点の絞込みがすんだため、2年目に実施することで問題はない。浮遊物群や地形変動部分は、1年目の成果を踏まえ実験と解析モデルの改良を行なう。大学院修士2年の学生2人、修士1年1人、卒論生3人が研究に従事する予定であり、特に問題はない。
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Research Products
(3 results)