2016 Fiscal Year Annual Research Report
骨組織と脂肪組織の発生を同時に模倣するマトリックス材料の開発
Project/Area Number |
15H03027
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
陳 国平 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (50357505)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マトリックス材料 / 生体模倣材料 / 足場材料 / 再生医療 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度に確立した条件で、分化段階が異なる組織発生模倣型マトリックスを調製した。各マトリックス表面でヒト間葉系幹細胞(MSC)を培養し、MSCの接着、増殖、骨分化及び脂肪分化への影響を評価した。具体的にはまず、骨分化初期・脂肪分化初期、骨分化初期・脂肪分化後期、骨分化後期・脂肪分化初期及び骨分化後期・脂肪分化後期という4種類の組織発生模倣型マトリックス(4種類)を調製した。次に、各組織発生模倣型マトリックス表面でMSCを培養し、MSCの接着及び増殖を調べた。その結果、いずれのマトリックスにおいても、MSCはよく接着して伸展し、培養と共に増殖した。さらに、組織発生模倣型マトリックス表面で培養したMSCの骨芽細胞および脂肪細胞への分化誘導を行い、その分化度を調べた。骨芽細胞への分化をアルカリホスファダーゼ(ALP)染色、アリザリンレッド染色によるカルシウム沈着の検出、リアルタイムPCR法による骨分化マーカー遺伝子であるALP、IBSP、オステオポンチン、RUNX2及びSP7の遺伝子発現解析により評価した。一方、脂肪細胞への分化を脂肪滴のOil Red O染色、リアルタイムPCR法による脂肪細胞分化マーカー遺伝子LPL、FABP4、FASN、PPARG及びCEBPA遺伝子の発現により調べた。その結果、組織発生模倣型マトリックスの種類に応じてMSCの分化に対して異なる効果が現れた。すなわち、骨分化後期・脂肪分化初期マトリックス材料と骨分化後期・脂肪分化後期マトリックス材料はMSCの骨分化を促進したが、脂肪分化を促進しなかった。これに対して、骨分化初期・脂肪分化初期マトリックス材料はMSCの脂肪分化を促進したが、骨分化に促進効果がなかった。骨分化初期・脂肪分化後期マトリックス材料は骨分化、脂肪分化のいずれも促進しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に確立した条件で作製した骨・脂肪組織発生模倣型マトリックスを用いて、それぞれのマトリックスによるヒト間葉系幹細胞の骨分化と脂肪分化への影響を明らかにし、計画通りの成果をあげたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画通り研究を進める。すなわち、前年度に引き続き「骨・脂肪組織発生模倣型マトリックス」を用いてMSCを培養し、分化誘導を促進するバイオマテリアルとしてのマトリックスを評価するための研究を実施する。
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Research Products
(13 results)