2015 Fiscal Year Annual Research Report
両手協調動作の制御における利き手・非利き手の役割に関する研究
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15H03062
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
山中 健太郎 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (90359662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河島 則天 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 運動機能系障害研究部, 室長 (30392195)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 利き手 / 協調動作 / コーディネーション / 脳波 / 経頭蓋磁気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、右利き・左利きのヒトが両手を同時に用いる動作を遂行中にバイオメカニクス的・電気生理学的な記録を行い、両手協調動作の(1)パフォーマンス、(2)筋活動、(3)感覚運動関連領域の脳波、(4)皮質運動野への経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位、の4つの指標から、両手協調動作における利き手・非利き手制御のメカニズムを明らかにすることを目的とするものである。平成27年度において、研究代表者は両手を用いた反応遂行/抑制課題におけるパフォーマンスから、右利きのヒトは右手の反応を遂行し同時に左手の反応を抑制するほうが、左手の反応を遂行し同時に右手の反応を抑制するより困難であり、左利きのヒトはその逆になることを明らかにした。さらに、脳波で見ると反応遂行前の準備電位は右利き・左利きで左右同様にみられたが、α帯域のパワーの減少は右利きでは左側、左利きでは右側の感覚運動皮質でより顕著にみられ、両手同時の反応遂行/抑制課題における利き手による左右半球の準備状態に違いが確認された。研究分担者は両手を用いた力発揮課題を力発揮の向きと筋を組み合わせた4条件で行い、経頭蓋磁気刺激とH反射で末梢性と中枢性の影響の違いを確認した結果、向きによる影響は両方に、筋による影響は特に反射で大きくみられた。これらの平成27年度に得られた知見は「両手協調動作の制御における利き手・非利き手の役割」に関するメカニズムを明らかにするきわめて重要なものであった。またこれらの研究を通じて、脳波・筋電図を用いた様々な神経生理学的な実験・解析システムを構築することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者・研究分担者が平成27年度に予定していた実験およびデータの解析はほぼ完了し、現在論文を執筆する段階に達している。またその中で、動作・筋電図・脳波の記録と解析をする汎用性のあるシステムを構築することもできた。さらに、平成28年度以降に計画している実験系として、3次元的な動作記録と同時に筋電図・脳波を記録する機材を導入し、到達動作課題を用いた予備的な実験を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度については、研究代表者は両手を用いた到達動作課題動作の軌道・筋電図から見た筋活動のコーディネーションおよびEEGのパワーと位相のダイナミクスから両手協調制御メカニズムを検討し、それらと利き手・非利き手との関係性を調べる実験を進めていく予定である。上述の通り、既にこの予備実験を行っている。それと並行して、研究分担者と協力し幼少時に利き手矯正を行ったヒトおよび運動障害により利き手交換をしたヒトに対する両手協調動作の実験の計画を開始する。また、研究代表者・研究分担者ともに平成27年度に行った実験をまとめ、国内学会および国際学会での発表、および論文投稿を積極的に進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)