2016 Fiscal Year Annual Research Report
運動学習速度を規定する脳解剖学的・神経生理学的要因
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15H03074
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Research Institution | Jobu University |
Principal Investigator |
関口 浩文 上武大学, ビジネス情報学部, 教授 (20392201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 宏 高知工科大学, 情報学群, 准教授 (00415366)
宮崎 真 静岡大学, 情報学部, 教授 (30392202)
山中 健太郎 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (90359662)
中澤 公孝 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90360677)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 運動学習速度 / MRI / 経頭蓋磁気刺激 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的を明らかにするために,大きく2つのアプローチを用いた。 第1に解剖学的アプローチとして,MRIによりT1解剖画像を事前に記録し,その後,Phantomにより右腕による到達運動の力場学習課題を実施した。運動課題の学習速度により解剖画像に特徴的な違いがあるか否か検討した結果,パフォーマンスに有意な相関を示す脳部位は認められなかった。 次に3ボール・カスケード・ジャグリングに関して,現時点で14名を対象にT1解剖画像を事前に記録し,その後,ジャグリング課題を実施した。現在,本データ解析を進めている。 第2に神経生理学的アプローチとして,TMSを用いて皮質脊髄路に関する入出力特性を記録し,その定常値,最大傾斜,閾値を算出した。その後,Phantom装置により右腕による到達運動の力場学習課題を実施した。入出力特性の最大傾斜を説明変数,到達運動のエラー最終値を目的変数として単回帰分析を行った結果,有意な関連性が認められた(t=-2.58, p=0.021, R2=0.31)。 また,両手協調運動であるジャグリングの学習速度と皮質脊髄路興奮性調節の関係を明らかにするために,両上腕二頭筋から3段階の刺激強度で運動誘発電位を記録し,その3点回帰による傾きの左右差と,その後に実施したジャグリングのキャッチ数との関係を検討した。その結果,皮質脊髄路入出力特性の傾きの左右差を説明変数,ジャグリングの総キャッチ数を目的変数として単回帰分析を行った結果,有意な関連性が認められた(t=-2.88, p=0.014, R2=0.41)。 fMRIにて,ジャグリングの動画を見ているときと,その他の日常的な両手協調動作を見ているときの脳活動とその後のジャグリング練習におけるパフォーマンスとの関係を検討した。現時点で有意な脳活動はあるもののもう少し人数を増やして検討する必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気共鳴画像診断装置(MRI)によるVBM, DTIおよび機能的MRI(fMRI)に関するデータを随時取得し,解析を実施している。Phantomによる到達運動の力場学習に関するVBMの結果は,残念なことに出なかったが,ジャグリングに関しては現在解析中で,結果が待たれる。また,fMRIによる視覚情報処理に関するデータに関しては,現在14名と少ないため,次年度さらに人数を増やして検討する予定である。 一方,経頭蓋磁気刺激に関する機能的側面の検討では,結果が出始めており,学会発表を2演題予定している。さらに次年度追加データの取得,および新たな実験を実施することを予定しており,本務校にてデータ取得できることからも進みが早い。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,取得済みのデータ解析およびまとめを実施するとともに,以下のデータ取得を実施する予定である。 機能的MRIにより,3ボール・カスケード・ジャグリングのお手本動画を見ている時の脳活動部位に関して,「すぐできるヒト」と「何度も練習をしないとできないヒト」の違いを明らかにするため,更なるデータを取得しn数を増やすと同時に解剖画像の取得もすることから,ジャグリング課題に対するVBM検討に関しても更にデータを取得することになる。 両手協調動作としてジャグリングを練習する前に,経頭蓋磁気刺激により左右の上腕二頭筋から応答を記録し,その左右差とパフォーマンスの関係を検討するため,更にデータ数を増やす。また,片手動作を対象に経頭蓋磁気刺激の応答とパフォーマンスの関係を検討する予定である。 上記のそれぞれの研究課題に関して,データがまとまり次第,論文執筆を始める予定である。
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Research Products
(4 results)