2015 Fiscal Year Annual Research Report
遮蔽物存在環境対応型マーカレスモーションキャプチャ法の開発
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15H03076
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
桐山 善守 工学院大学, 工学部, 准教授 (30383722)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マーカレスモーションキャプチャ / 運動計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、輪郭に基づく視体積形状の構築に加え、ステレオ視を利用した奥行き情報に基づく表面形状データを統合し、視体積形状の高精度化を行った。まず、コンピュータ上で仮想的に作成した画像を利用して、本手法の基本アルゴリズムを構築し、パラメータの設定や調整を行った。これと並行して、実カメラシステムから得られる実画像に基づき、この妥当性や適切な調整方法について検討した。実カメラにより得られる画像は、外部環境の影響を受けやすく、計測状況に応じて調整を行う必要性が明らかとなった。これは、カメラ計測による一般的な問題とも一致しているものの、検討すべき項目が明らかとなったため、本システムの調整項目として取り入れることとした。 アルゴリズムの検討や実カメラでの解析では、実現可能な計測状況を想定することによって、極めて限定的な範囲でありながら精度を向上させる手法が明らかになった。これは、カメラ計測を行う上で経験的に理解されてきた内容に、定量的な評価を与えるものである。さらに、計測環境が変更になった際の解析限界についても評価でき、カメラ配置などについて実践的な計測条件を検討することが可能となった。本手法は、視体積形状の精度が解析精度に大きな影響を与えるため、計測前評価の実現は本計測手法の有効性をさらに高めるものとなる. このように、想定していない問題があったものの克服可能な範囲に収まっており、当初の予定どおりに研究を遂行することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ステレオ視による奥行き情報を取得し、これを基に新たな視体積形状の構築することで、視体積形状の高精度化に取り組んだ。 (1-1) まず、通常のマーカレスモーションキャプチャ法と同様に、視体積交差法により被験者形状を三次元空間から抽出した。次に、複数カメラ視野によるステレオ視を行った。これにより、カメラから見た奥行き方向の測距が可能となり、通常の視体積形状以上の精度を有する表面形状の抽出が可能となった。また本研究では、対応点の探索に視体積を利用した。両カメラの視点と基準画像上の点を含む平面(エピポーラ面)が、対応する点の存在可能領域であり、基準画像上の点は被験者形状上に存在しているため、探索画像における注目点の存在範囲を得られた視体積の内部空間内に制限した。この範囲をエピポーラ線上に投影し、探索範囲を極めて狭めた。 (1-2) (1-1)により得られた奥行き距離は、ステレオ視を行ったカメラからの距離となる。このため、近接するカメラを組み合わせ、カメラごとの奥行き情報を取得した。最終的に得られた奥行き情報から被験者の側面サーフェスを構築し、これを貼り合わせることで新たな視体積とした。サーフェス間の境界部分では計測精度が低下したが、この側面サーフェスは視体積に内接しており、視体積外部に存在しないことを条件として統合した。 (1-3) 本手法の計測精度は、実際に利用するカメラの仕様や利用環境に依存する。このため、本申請により計測に必要な機材を購入し、実カメラシステムの構築および本手法の評価を行った。理想環境とは異なり、外部からのノイズの影響を受けやすいことが明らかとなったが、これは従来のカメラ計測でも指摘されていたことであり、ノイズ軽減のための調整が可能となるようにソフトウェアを対応させた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、関節部分からの姿勢推定を可能とする基準表面形状モデルを構築し、その上でマーカレスモーションキャプチャ法を実現する。 (2-1) 被験者の体表面形状は様々に異なるため、本研究では関節表面形状の変形を再現した基準表面形状モデルを構築する。これを被験者の解剖学的特徴点が一致するようにモーフィングし、被験者表面形状モデルとして利用する。シェイプマッチングによる計算負荷を軽減するために、身体節から関節部分のみ変形を許容し、その他の部分は剛体として機能させる。現状では全身動作を対象とするため、膝などの大きな運動を対象とする。 (2-2) 最適な格子数や格子の移動量を決定するために、標準的な身体特徴を持つ被験者を対象に、様々な関節角度時における関節表面形状を取得する。(2-1)で構築した基準表面形状モデルを被験者形状にモーフィングし、その上で、身体節を一致させた時に生じる関節表面形状を比較することで、適切な格子の変形量を決定する。得られた変形量を元々の基準表面形状モデルにおける変形量に変換しておくことで、被験者ごとに異なる体型であっても、関節表面形状を推定することが可能となる。 (2-3) 関節表面形状を推定できる基準表面形状モデルを利用して、初年度に構築した高精度視体積へのシェイプマッチングを実現する。従来の接平面で覆われた視体積に比べて、シェイプマッチングの対象形状がより厳密になるため、計測精度が高くなり計算速度の高速化も期待できる。最終的に、従来手法や他手法と比較することで、本手法の有効性と精度を定量的に明らかにする。
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