2016 Fiscal Year Annual Research Report
中学生の食行動異常の実態と関連要因に関する大規模地域調査ー5年前と比較して
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15H03088
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
小牧 元 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 教授 (70225564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 基成 女子美術大学, 芸術学部, 教授(移行) (40259263)
東條 光彦 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (70241982)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 食行動 / 睡眠 / 性的被害 / インターネット / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
摂食障害は思春期発症の危険性が高い。女子中学生の食行動異常とそれに関連する発症危険因子に関して、首都近郊都市Aと中国地方都市Bのそれぞれ同一中学校を対象に5年前と比較し、その変動の背景を探った。調査項目は摂食障害診断質問紙(EDE-Q6.0日本語版) 、摂食障害発症に関連すると予想される日常生活上の諸因子、身長cm・体重kgであり、統計解析にはSSPS statistics ver.23を用いた。EDE-Qとは、Fairburn & Cooper によって開発された摂食障害構造化面接Eating Disorder Examination(EDE,1993)がベースの自記式質問紙 (28質問項目) ①食事制限 Re、②食事へのこだわり EC、③体形へのこだわり SC、④体重へのこだわり WC、それにGlobal Score =(①+②+③+④)/4を項目として加えたものである。“臨床的問題あり”はGlobal Score4点以上とされている。同様に“過食や不適切な代償行動”の頻度も知ることが出来る。日常生活上の諸因子として、いじめなどの心理的因子、体形への批判、食事カロリーや体重・体形へのこだわり、体罰、家族関係など従来報告されている諸因子である。 その結果、昨年度の報告に加えて、今年度は両都市間における女子中学生変動の差を検討した。その結果、2都市間で変動の傾向に差が認められた。具体的には、地方都市とは対照的に首都近郊都市においては食行動異常の頻度が増加しており、発症危険因子の変動と関連していた。特に、心理的ストレスの増強と共に睡眠リズムの問題の増加が顕著に関与している可能性が示唆された。 結論としてこの5年間の女子中学生の食行動異常の増加には彼女らの心理的ストレスまた睡眠リズムの問題の増加が関与している可能性があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2都市女子中学生の変動の統計的解析は終了し、国際学会、国内学会で結果を発表した。5年前の結果との比較検討を行い、研究概要に記したように興味ある結果を得た。しかしながら、インターネット利用状況との関連については未だ詳細な解析が終了していないので、結論には至っていない。一方、男子中学生の変動の統計的解析も終了しており、2017年度に発表予定である。 また、H27年度(初年度)に参加した生徒の1学年上がった段階でのコホート調査を、H28年度において、該当の生徒全員を対象に行った。調査参加に同意した生徒は80%を超えており、データの収集は終了した。調査自体は順調に進捗しており、現在解析を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度(H29年度)においては、初年度調査に参加した生徒のコホー調査の2年目の調査を実施する。 その調査結果を基に、統計解析をさらに進め、5年前の調査との比較検討ならびに食行動変化の要因を個々人を対象に探る予定である。そうすることで、初年度で明らかになった特異的な日常生活ストレス要因との関連、インターネット利用状況との関連など、より具体的に明らかにする予定である。
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Research Products
(5 results)