2016 Fiscal Year Annual Research Report
子どもにやさしい都市のための都市環境評価システムに関する研究
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15H03107
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Research Institution | Aichi Sangyo University |
Principal Investigator |
矢田 努 愛知産業大学, 造形学部, 教授(移行) (30288568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 清江 愛知産業大学, 造形学部, 准教授(移行) (00387870)
三輪 律江 横浜市立大学, 国際総合科学部(八景キャンパス), 准教授 (00397085)
高木 真人 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (10314303)
石原 健也 千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (20337702)
浅野 耕一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (70336444)
仲 綾子 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (70747609)
佐久間 治 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (80251627)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 子どもの成育環境 / 子どもにやさしいまちをつくる / 施策等の都市類型別提案 / 都市の施策の評価システム / 子ども部 / 子ども関係部局 / 子育て支援 / 子ども条例 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子どもにやさしいまちをつくる都市の施策の評価システム(都市環境評価システム)の構築と施策等の提案を目的とするものである。平成28年度(第2年度)には、施策等の記述指標と都市類型整理のための都市事例調査に向けた調査項目の検討を引き続き進めるとともに、全国の都市を対象として、子ども関係統合部局を設置する事例を調査、収集し、部局の名称、組織形態、事業内容や所管施設の整備状況等を明らかにした。また、全国都市アンケート調査を実施して、全国の都市の施策、事業、施設整備とその運営などの実施状況と改善手法に関する情報を収集した。 「子ども部」等の名称より確認される子ども関係統合部局を設置する事例は、都市全体の3割、中核市・政令指定都市では6~8割と、全国に広がっており、部局名称も福祉、健康、保健、教育などを冠する等、かなり多様であった。しかし、組織の構成等はおおむね同様である。その機能も、青少年行政、子育て支援、母子保健、児童養護、保育の機能に幼児教育の機能を加える程度と限定的あり、幼児期以降の教育、まちづくり、公園、道路、交通安全、環境教育、こどもの権利等のより広汎な政策統合へとつなげていくことが今後の課題となることが確認できた。 全国都市アンケート調査では、254市の回答(送付数814の31.2%)があり、これをもとに一連の集計、分析を進めているところであり、平成29年度(最終年度)には、施策の動向、特別な成果や特徴ある効果よりみた施策の評価、施策への組織対応、特徴ある施策事例とその類型、施策への取組みの担当者評価とその要因等を明らかにし、子どもにやさしいまちをつくる都市の施策の評価システムを都市環境評価システムとして構築し、子どもにやさしい都市をつくるまちづくりの推進に寄与する施策等を都市類型別に提案できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度(第2年度)には、子ども関係統合部局を設置する全国の事例を調査、収集し、部局の名称、組織形態、事業内容や所管施設の整備状況等を明らかにすることができた。また、全国都市アンケート調査を完了し、全国の都市の施策、事業、施設整備とその運営などの実施状況と改善手法に関する情報を収集することができた。後者は、当初計画では平成27年度(第1年度)中の実施、平成28年度中の集計を予定していたものであり、進捗状況はやや遅れているといえるが、調査票回収数は254(送付数814の31.2%)と、当初の想定よりかなり多く、今後の集計、分析により施策実施状況を全国的に、またより確実に、把握することができると期待される。また、これまでに、施策の動向、特別な成果や特徴ある効果よりみた施策の評価、施策への組織対応、特徴ある施策事例とその類型、施策への取組みの担当者評価等の具体的な分析方針を調査票の概観をもとに定めることができている。したがって、平成29年度中には、予定どおり子どもにやさしいまちをつくる都市の施策の評価システムを都市環境評価システムとして構築し、子どもにやさしい都市をつくるまちづくりの推進に寄与する施策等を都市類型別に提案できると考えられる。したがって、本研究の進行はやや遅れているものの、順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度(最終年度)は、都市環境評価システムの構築とこれを検討ツールとして活用した子どもにやさしいまちつくる都市の施策等の提案作成をし、研究成果の全体的とりまとめを行う段階であり、これを、施策の動向、特別な成果や特徴ある効果よりみた施策の評価、施策への組織対応、特徴ある施策事例とその類型、施策への取組みの担当者評価とその要因等の解明とともに進めることとする。 (1) 最終年度のための研究実施計画の作成(改訂):最終年度の調査事項を確定し、補足調査を含め具体的な研究実施計画を作成する。 (2) 全国都市アンケート調査にもとづく分析:施策の動向、特別な成果や特徴ある効果よりみた施策の評価、施策への組織対応、特徴ある施策事例とその類型、施策への取組みの担当者評価とその要因等を解明する。 (3) 都市環境評価システムの構築と施策の提案:子どもにやさしい都市をつくるまちづくりにかかわる施策等の記述指標を確定し、それにもとづく都市環境評価システムを構築する。これは、主成分分析等の多変量解析手法の記述指標への適用による都市の類型化と記述指標集約による多次元的評価を同時的に実現するものであり、人口規模、立地特性等の基礎的指標よりみた都市の類型別に、子どもにやさしいまちをつくる都市の施策の目標や課題を把握し、新たに開発、提案されるものも含め、望ましい施策等の選択肢を代替案として示せると期待される。 (4) 最終成果のとりまとめ:最終成果のとりまとめを行う。各段階の成果はこども環境学会等の論文として逐次発表の予定である。
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