2015 Fiscal Year Annual Research Report
中国の都市と農村の一体化における社会保障改革:東アジア型福祉ミックスの可能性
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15H03133
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
澤田 ゆかり 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50313268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
包 敏 広島国際大学, 医療福祉学部, 准教授 (00352013)
沈 潔 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20305808)
李 蓮花 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (30373038)
朱 民 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (30634216)
于 洋 城西大学, 現代政策学部, 教授 (60386521)
真殿 仁美 城西大学, 現代政策学部, 准教授 (70412781)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会保障 / 中国 / 都市と農村の一体化 / 年金 / 医療保険 / 生活保護 / 高齢化 / 障害者福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「中国の都市と農村の一体化における社会保障改革:東アジア型福祉ミックスの可能性」は、現在進行中の中国における都市と農村の一体化改革において、地方政府が民間の資源を調達する過程と成果を分析し、中国の社会保障コストの担い手を明らかにすることにより、我が国を含む東アジア型福祉ミックスの可能性を探索する研究である。 平成27年度は初年度であることから、各分担者が資料収集と現地での聞き取り調査を実施し、かつ国際会議への参加および国際ワークショップの共催を行った。詳細は、以下の通り。(1)定例研究会:年間を通じて6回の定例研究会を行い、研究分担者と研究協力者全員が各担当分野の報告を行った。(2)各自が中国で聞き取り調査を実施し、結果を上記の定例研究会で共有した。(2) 平成27年9月12日から13日にかけて、成均館大学(韓国ソウル市)で開催された日中韓社会保障国際フォーラムに6名(澤田、沈潔、朱珉、包敏、李蓮花、張継元)が参加し、報告または討論を行った。(3)平成27年12月13日に中国から鄭功成氏(人民大学教授)他2名を、日本から田多英範氏(流通経済大学名誉教授)他2名を招聘し、科研費C「東アジアの地域文化に即した地域包括ケア人材の育成に関する日中比較研究」(代表:沈潔)と共催で国際シンポジウム「日本と中国:少子高齢社会の課題とその対応」を組織した。(4)平成28年3月10日にミネルヴァ書房より沈潔・澤田編『ポスト改革期の中国社会保障はどうなるのか 選別主義から普遍主義への転換の中で 』を刊行した。研究会メンバー全員が執筆を担当している。(5)安徽財政経済大学の秦立建准教授とアンケート調査の設計を行った。(6)中国の民政部や南京大学、遼寧師範大学において、2名(于洋、包敏)が講演を行い現地へのフィードバックとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に予定していた主な活動目標のほとんどを達成し、次年度の事業準備を着実に進めることができた。 まず本課題の初年度にあたる本年度は、研究分担者と協力者が科研費申請時に準備してきた研究を完成させて、沈潔・澤田ゆかり(編)『アジア政治経済論』として3月に刊行できた。このように、本課題に密接に関連する従来からの研究蓄積を初年度に出すことができた。 また各担当者による現地調査を順調に進め、最新の現地語データを収集し、研究会を通じて共有を行った。第2回研究会には、来日中であった中国人口学会副会長の左学金氏にコメンテータとして参加してもらうことができ、高齢化の現状について最新の動向に関する見解を得た。同時に、日本を含む東アジアにおける福祉動向の講演を行うなど現地側の研究機関に対するフィードバックも行った。後半は基盤となる重要法令と統計データの整理を行い、すべての対象分野をカバーすることができた。 さらに平成27年12月13日に共催した国際シンポジウムは、中国社会保障学会の会長でもある鄭功成氏、許飛瓊氏(中央財政大学保険学院教授)および日本から田多英範(流通経済大学名誉教授)、岡本英男(東京経済大学教授)、阿部誠(大分大学教授)の討論を加えて、一般公開としたところ、会場である日本女子大学新泉山館の大会議室が満席となるほど一般聴衆の参加を得た。 アンケート調査については、カウンターパートとして予定していた中国の大学・研究機関(中山大学社会保障研究センター、人民大学社会保障研究センター、上海社会科学院経済研究所、南京大学)に打診したところ、予算の規模が不足とのことで最終合意には至らなかった。その中で、安徽財経大学の秦立建准教授は実施可能とのことであったため、秦教授とアンケート項目の設計を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては、中国の社会保障改革について、以下の項目を実施する予定である。 (1)定例研究会の開催:前年度に引き続き、年間6回の定例研究会を平成28年度に東京で開催する。現地調査の成果と各担当分野について報告を行うほか、アンケート調査の分析に当てる。 (2)現地調査:聞き取り調査と関連資料の収集を継続するほか、安徽財経大学など調査協力機関に依頼したアンケートの回収と集計を完了させる。 (3)重要政策文献と地方統計データの整理と公開:平成27年度に着手した社会保障関連政策と基本統計に関する資料集をホームページにて公開する。
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Research Products
(23 results)