2017 Fiscal Year Annual Research Report
日伊の交流を通した蝋型ブロンズ彫刻の新しい表現の研究
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15H03173
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 義孝 筑波大学, 芸術系, 教授 (10198252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 佐代子 筑波大学, 芸術系, 教授 (10326415)
武末 裕子 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10636145)
松尾 大介 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (50377230)
宮崎 甲 千葉大学, 教育学部, 教授 (60272291)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 蝋型鋳造法 / ブロンズ彫刻 / 彫刻表現 / イタリア現代彫刻 |
Outline of Annual Research Achievements |
蝋型石膏鋳型鋳造法の特質を活かした新しいブロンズ表現の可能性について、研究分担者各自のテーマに基づいて実制作をもって実証していった。研究代表者中村義孝は、「蝋を直接造形する方法による表現の可能性」を課題とし、発砲スチロールを心材とした蝋直造り法で具象的表現を追求した。主な研究成果としての作品「遠くを見る人」は第63回一陽展(国立新美術館/東京2017年10月)に発表した。研究分担者宮崎甲は、バルサ材の特性である軽さと強度(蝋との比較)と蝋で作った部分を溶着して新しい技法で表現を行うよう造形を発展させた。、主な研究成果としての作品「風の気配」は宮崎甲彫刻展(みぞえ画廊/東京2018年2月)に発表した。研究分担者松尾大介は、イタリア式蝋型鋳造による異素材結合の実証的検証を継続し、これまでの実験的試みを統合させる空間構成に取り組んだ。主な研究成果としての作品「太古の宇宙船75882-0」は第91回国展(国立新美術館/東京2017年5月)に発表した。研究分担者武末裕子はテーマに基づき様々な素材から形を写し取った蝋で作る直造り法で半具象的表現を追求した。主な研究成果としての作品「森へ」は第91回国展(国立新美術館/東京/2017年5月)に発表した。2017年7月8日にジュディチェ鋳造所(グレイヴェ・イン・キアンティ)において蝋型ブロンズ表現の日伊の研究交流会を開催し中村、松尾、武末が各自の課題に基づく研究成果の発表を行った。また、同鋳造所においてワークショップも行った。その他、F.A.R鋳造所(ローマ)でも研究調査を行った。2018年2月11日には筑波大学で研究例会を開催し、中村、松尾、武末の研究経過報告に加え、鋳造彫刻に関した研究者3名による研究発表を企画実施した。田中は蝋型鋳造工程をわかりやすい図にビジュアル化する研究を引き続き行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イタリア式蝋型鋳造彫刻の特質を活かした表現の研究に関しては、分担者が各自のテーマに基づき、それぞれの制作法用いた表現を年々深化させ成果を上げつつある。中村は発泡スチロールを心材としてその上に蝋板を張り付ける蝋直造り法で具象彫刻を追求した。宮崎はバルサ材と蝋の特性を生かし、新しい技法で表現を行うよう造形を発展させた。松尾は、異素材結合のこれまでの実験的試みを統合させる空間構成に取り組んだ。武末は様々な素材から形を写し取った蝋で作る直造り法で半具象的表現を追求した。またイタリア式蝋型鋳造の基本的な技法の解明についてもイタリアの伝統的な鋳造工房6ヶ所で継続的に調査が進んでいる。イタリア現代彫刻家の蝋型鋳造技法を活かした独自の彫刻表現についての考察も各分担者によってすすめられ今年度末には印刷物として纏める予定である。今年9月から10月にかけてクロチェッティ美術館(ローマ)で日伊のブロンズ彫刻家による研究交流の展覧会企画も進んでいる。したがってイタリアの鋳造家、彫刻家、美術関係者とのネットワークも広がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
蝋型石膏鋳型鋳造法の特質を活かした新しいブロンズ表現の可能性の研究については、研究分担者が平成29年度に引き続きそれぞれの課題に基づき更に深化させてゆく。今年度は最終年度に当たり、まず9月28日~10月27日にかけてクロチェッティ美術館(ローマ)で研究分担者のこれまでの成果物の発表と、あわせてイタリアの現代のブロンズ作家の作品を展示し研究交流会を行う。11月6日~12月22日には筑波大学芸術系ギャラリーにおいて4年間の研究の総括として、成果物の展示及び口頭発表を行う。これまでにイタリア現代彫刻家の中から特に蝋型ブロンズ彫刻表現に独自の境地を開いた彫刻家の鋳造技法と彫刻表現について調査研究してきた。調査対象の彫刻家はヴェナンツォ・クロチェッティ、マリノ・マリ ーニ、ジャコモ・マンズー、メダルド・ロッソとし、研究代表者中村、研究分担者松尾、研究分担者武末、研究分 担者宮崎がそれぞれ分担して行ってきたが、本年度はそれを纏め印刷物にして公開することを目指す。更にイタリア国内の伝統的な技法を駆使し鋳造を行っている 鋳造所である、F.A.R鋳造所(ローマ)、ファブリス・フォラス鋳造所(ベローナ)、ジュディチェ・レオナルド鋳造所(グレ ーヴェ・イン・キアンティ)、バッタリア鋳造所(ミラノ)についての調査を毎年行ってきたが今年は最終年度にあたり調査報告書の作成を行い、印刷物にし公開できるようにする。
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Research Products
(17 results)