2016 Fiscal Year Annual Research Report
金剛寺聖教・文書類を基盤とした社寺ネットワークの解明とその蔵書史的研究
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15H03186
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
海野 圭介 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (80346155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 浩 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60193075)
箕浦 尚美 同朋大学, 文学部, 講師(移行) (70449362)
近本 謙介 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (90278870)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 真言宗御室派 / 金剛寺 / 蔵書史 / 聖教 / 寺院ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の設定した主要なテーマである3点の課題、1)金剛寺所蔵典籍・文書類の蔵書史的記述と寺院文化圏の解明、2)金剛寺所蔵典籍の書誌学的検討と貴重古典籍の特立的研究及び成果報告、3)金剛寺聖教研究を起点とした寺院文化圏と文学的営為の国際共同研究、に沿って調査と研究を進めた。 設定した課題のうち、1)金剛寺所蔵典籍・文書類の蔵書史的記述と寺院文化圏の解明の分野については、① 院政期及び鎌倉時代初頭を中心とした寺院文化圏と世俗文化圏の交渉の解明、と②南北朝期及び室町時代前期を中心とした寺院ネットワークの解明の細目を立て検討を進めた。いずれも調査した典籍・文書類の奥書等の入力を進め、併せてその分析を行っている。 2)金剛寺所蔵典籍の書誌学的検討と貴重古典籍の特立的研究及び成果報告については、『天野山金剛寺善本叢刊』第1期として、金剛寺所蔵の貴重典籍の写真版に翻刻と解題を附し、第1巻・漢学(『全経大意』、『文集抄』、『楽府注少々』、『本朝文粋』巻八、『本朝文粋』巻十三、『円珍和尚伝』、『明句肝要』の7点の作品を収めた)、第2巻・因縁・教化(『教児伝』、『天台伝南岳心要』、『聖徳太子伝記』、『〔佚名孝養説話集〕』、『〔左近兵衛子女高野往生物語〕』。『〔無名仏教摘句抄〕』、『花鳥集』の7点の作品を収めた)として刊行した。 3)金剛寺聖教研究を起点とした寺院文化圏と文学的営為の国際共同研究については、欧州所在の写本文化を対象とした研究所との間で調整を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた書籍も刊行することができた。その他も概ね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の推進方策は下記の通り。 1)金剛寺所蔵典籍・文書類の蔵書史的記述と寺院文化圏の解明の分野については、新たに設置された日本宗教文献調査学合同研究集会から依頼があり、本研究の成果と経過について報告を行う予定である。また、次年度に予定している成果報告論文集にの作成を進める。 2)金剛寺所蔵典籍の書誌学的検討と貴重古典籍の特立的研究及び成果報告の領域については、『天野山金剛寺善本叢刊』第2期の刊行を進める。 3)金剛寺聖教研究を起点とした寺院文化圏と文学的営為の国際共同研究については、欧州所在の写本文化を対象とした研究所との間で調整を進めている企画について詳細の確定を行う。
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