2015 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト世界文学に向けた比較詩学的共同研究の基盤構築
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15H03200
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
福嶋 伸洋 共立女子大学, 文芸学部, 専任講師 (00711847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 隆之 大東文化大学, 外国語学部, 講師 (20510085)
中丸 禎子 東京理科大学, 理学部第一部教養学科, 講師 (50609287)
古川 哲 聖心女子大学, 文学部, 非常勤講師 (60714459)
鵜戸 聡 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (70713981)
三枝 大修 成城大学, 経済学部, 専任講師 (80707662)
奥 彩子 共立女子大学, 文芸学部, 准教授 (90513169)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポスト世界文学 / マイナー言語 / 東欧文学 / 学生運動 / 動物表象 / バスク文学 / オートフィクション |
Outline of Annual Research Achievements |
8月5日、来日中のクロアチアの亡命作家ウグレシッチを招いた研究会を開き、現地の文学をめぐる動向について貴重な情報を得た。2016年2月には、分担者の奥が編著者の一人、分担者の鵜戸が著者の一人となった『東欧の想像力』が刊行されるなど、この研究会は東欧文学研究の重要な拠点になっている。 10月10日、共立女子大学にて、芥川賞作家でドイツ文学者の柴田翔氏を招いた研究会を開き、代表作である、1964年に出版された小説『されどわれらが日々ーー』の作品世界を中心に、60年代の世界情勢とそれに連動する形での学生運動について議論。現在の世界情勢を理解するための足がかりを得ることができた。 12月19日、共立女子大学にて、協力者の村上による、大江健三郎『万延元年のフットボール』における動物表象をめぐる研究の報告。人間と人間にあらざるものとの境界一般について考えるための視座を得た。 2月21日、鹿児島大学にて、この研究会で編集・出版することを企画している世界文学の短篇集の内容について議論。多様な文化への入り口となる短篇を選択し、その国について知識のない読者にとっての導入となるような解説を付すという方向性を確認。また、22日には、同大にて、研究協力者の金子奈美が翻訳したキルメン・ウリベ著『ムシェーー小さな英雄の物語』(白水社、2015年)の合評会を行い、そのオートフィクションとしての性格、バスク語での創作や読者層について検討。 2月28日から3月14日の日程で、研究協力者の金子奈美を、スペインのビルバオ、サンセバスティアンに派遣。金子は既にバスク語作品の邦訳も手がけており(2015年度に刊行されたキルメン・ウリベ 『ムシェ』は第二回日本翻訳大賞を受賞)、最新の動向の把握や、バスク人研究者や作家たちとの交流は、本研究の展開のみならず、多様な言語・地域の文学を日本に紹介するにあたって大きな意義をもつ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分担者・協力者それぞれの研究の進展によって、当初の計画にはなかった方向性が見えてきてもいるが、「ポスト世界文学」という、既存の地域・言語別のカテゴリーを越えるテーマのもとで、研究は進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の2年目となる本年度は、分担者・研究者それぞれの現在の関心を相互に、緊密に連絡を取り合って共有し、研究会の大きなテーマとの擦り合わせを行い、最終的な成果を視野に入れてさらに研究を推進していく。
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