2016 Fiscal Year Annual Research Report
Interdisciplinary Collaborative Research Project Towards the Ecosophical Turn in Literary Theory
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15H03202
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
三原 芳秋 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 准教授 (10323560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松嶋 健 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (40580882)
高田 明 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70378826)
岡本 雅史 立命館大学, 文学部, 准教授 (30424310)
花田 里欧子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (10418585)
太田 貴大 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (30706619)
比嘉 理麻 沖縄国際大学, 総合文化学部, 講師 (00755647)
鵜戸 聡 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (70713981)
高梨 克也 京都大学, 情報学研究科, 研究員 (30423049)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生態学的転回 / エコゾフィー / 環境・社会・精神のエコロジー / 共同フィールドワーク / 共同執筆型文集 / オープンダイアローグ |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる平成28年度は「発展」段階として、初年度に座学中心の研究会で培った「理論」的共通理解をもとに、さまざまな「実践」の場へと活動領域を拡大した。 研究会のゲストに小松正史氏(京都精華大学)・小山田徹氏(京都市立芸術大学)を招き、それぞれ「環境音楽」を巡るワークショップ・「オープンダイアローグトポロジー」の実践的講習会という参加型イベントを実施した。また、定例の研究会も継続し、本年度は松嶋・比嘉・鵜戸が研究発表を行った。 「発展」段階でもっとも重視していた共同フィールドワークは、北海道浦河町「浦河べてるの家」および鹿児島・奄美群島の2回実施され、いずれも大きな成果をあげた。前者においては現地での活動に積極的に参加する一方で、向谷地生良氏(北海道医療大学教授・浦河べてるの家理事)を本研究会へ招聘することで合意した。後者ではフィールドワークの経験にもとづく共同執筆の準備にとりかかるとともに、現地の研究者・郷土史家と多く交流し(町健次郎氏(瀬戸内町立図書館・郷土館学芸員)・鈴木真理子氏(鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室研究員)・「奄美郷土研究会」のみなさん等)、今後の共同研究の礎を築くことができた。 対外的・社会的貢献活動としては、『むかしMattoの町があった』自主上映会(広島)をエコゾフィー研究会が共同主催し松嶋がレクチャーを行った。また、前年度本研究会に招聘した篠原雅武氏が中心となって開催された第4回OSIPP稲盛財団寄附講座公開セミナー「地域の縁の現在:建築の新しい展開」(大阪)に、松嶋以下数名のメンバーが参加した。 海外ネットワーク構築における本年度最大の成果としては、三原が招待講演に赴いた仁荷大学校(韓国)において、エコクリティシズムの世界的権威であるスコット・スロヴィック教授(アイダホ大学教授)との知己を得、その後も連絡をとりあっていることが挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「環境・社会・精神のエコロジー」を美的に統合する「エコゾフィー」的思考を共有する基盤を構築するために共同研究を続けてきた本研究グループが「発展」段階と位置づけた本年度は、「実践」の場面に力点が置かれることとなった。その意味では、まさに「三つのエコロジー」が交わる範例的な地点とも考えられうる「浦河べてるの家」および鹿児島・奄美群島における一連の共同フィールドワークを成功させたことによって、その目的はほぼ理想的なかたちで達成されたと言っても過言ではないだろう。また、その目に見える成果として「共同執筆型」の文集を作成するという企画も始動し、この共有された経験が一過性のものに終わらないよう話し合いが続けられている点も重要である。さらに、こうしてフィールドに出ることによって、(「研究実績の概要」に記したように)さまざまな人的交流が生まれ、これらのネットワークを活かした新たな共同研究の萌芽が垣間見られたことも、特筆すべき成果であると言えるだろう。 定例の研究会においても、より「実践」的な側面が強調されるようになったことは重要である。また、昨年度の「理論」的な準備期間を経て、メンバー各自がそれぞれの専門領域において重要な論考を相次いで発表したり、内外の学会や市民参加型イベントにおいて発表・講演を行ったりという「実践」を手掛けたのも本年度の特徴で、その成果を持ち寄る場として研究会が機能しはじめたことも貴重な「発展」だと言えるだろう。 他方で、海外ネットワークの構築に関しては、「点」的交流は拡大しているが、それを「線」さらには「面」として統合していくには至っていない。この点については、研究会のインテグリティを重視する観点からも当初の企図の有効性について反省的な議論が起こっており、方針転換も含めて次年度に解決すべき課題となるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、「実践」に力点をおいた平成28年度は、その最重要課題として共同フィールドワークを実施した。平成29年度は、まず、このフィールドワークの成果として「共同執筆型」のあらたな形態の文集を作成する作業に着手する。また、「理論」「実践」の両面にわたって推進してきた本研究の現時点での総括として、夏季休暇中に「エコゾフィー座談会」を実施する。この企画の内容としては、まず共通のテーマに沿って全メンバーが各自の専門の視点から執筆された論文を提出し、それら論文を全員でシェアしたうえで「座談会」形式の集中討議を実施する、という段取りを想定している。その成果は、一橋大学大学院言語社会研究科紀要『言語社会』第12号(2018年3月発刊予定)の「特集」として発表されることが内定している。また、これら共同作業による「発信」を中核に据えつつ、メンバー各自が国内外の発表媒体において個人の研究成果発表を行うことも積極的に奨励する。 以上の「発信」を成功させることが本年度の最重要課題であるが、引き続き「エコゾフィー研究会」の例会およびゲストを招いての研究会を活発に行うことに変わりはない。本年度すでに招聘が確定しているゲストとして、昨年度のフィールドワークで交流を深めた向谷地生良氏(北海道医療大学教授・浦河べてるの家理事)がいるが、これをひとつの範例として本共同研究を通じて築きあげたネットワークを稼働させながら強化していくことが、最終年度のさらに先を見据えて今後の重要な指針となっていくことだろう。
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Research Products
(60 results)
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[Book] 狩猟採集民からみた地球環境史: 自然・隣人・文明との共生2017
Author(s)
池谷和信(編), 池谷和信, 小野林太郎, 那須浩郎, 三宅 裕, 鶴見英成, 小泉 都, 佐藤廉也, 金沢謙太郎, 大石高典, 稲村哲也, 関野吉晴, 八塚春名, 手塚 薫, 信田敏宏, 高田 明, 松浦直毅, 小谷真吾, 服部志帆, 大橋麻里子, 加藤裕美, 山本太郎
Total Pages
327 (203-216)
Publisher
東京大学出版会
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[Book] 子どもを産む・家族をつくる人類学: オールタナティブへの誘い2017
Author(s)
松岡悦子(編), 松岡悦子, 小浜正子, 菅沼ひろ子, 日隈ふみ子, 安井眞奈美, 白井千晶, 菊地真理, 鈴木七美, 磯部美里, 高田 明, 上野加代子, 安里和晃, 青木加奈子. (2017). 子どもを産む・家族をつくる人類学: オールタナティブへの誘い
Total Pages
333 (185-209)
Publisher
勉誠出版
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[Book] Special Issue: Natural history of communication among the Central Kalahari San2016
Author(s)
Takada, A. (ed.), Tanaka, J., Takada, A., Ikeya, K., Imamura, K., Akiyama, H., Sugawara, K., Ono, H., Nakagawa, H., Widlok, T., Maruyama, J.
Total Pages
187
Publisher
African Study Monographs, Supplementary Issue, 52
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[Book] Marking the Land: Hunter-gatherer creation of meaning in their environment2016
Author(s)
Lovis, W. A. & Whallon, R. (eds.), Lovis, W. A., Whallon, R., Jarvenpa, R., Brumbach, H. J., Oetelaar, G. A., Aporta, C., Whitridge, P. J., O'Meara, C. K., Politis, G. G., Takada, A., Vaarzon-Morel, P., Lye, T. P.
Total Pages
303 (180-200)
Publisher
Routledge
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[Book] パレスチナを知るための60章2016
Author(s)
臼杵陽(編), 鈴木啓之(編), 板垣雄三, 今井宏平, 今井静, 今野泰三, 岩浅紀久, 臼杵悠, 鵜戸聡
Total Pages
412 (183-187)
Publisher
明石出版
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