2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H03263
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐々木 達夫 金沢大学, その他部局等, 名誉教授 (60111754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 花江 金沢大学, 環境保全センター, 准教授 (40303276)
岩渕 聡文 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (80262335)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本海の考古学 / 海岸と海底 / 水中考古学 / 海揚がり品 / 陶磁器 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本海及び周辺海域の海底に沈む具体的な物の実態調査から、日本海域地域間交流史の実証的研究を進めるのが研究目的である。日本海の海岸踏査と関連文献の調査、及び漁船底引き網による海揚がり品の調査を基礎に、海底に沈む船及び積み荷の地点と状況が推定可能となってきた。すでに数年にわたり実施した引揚陶磁器に関する論文執筆による資料の周知化、その歴史的意義の評価と基礎研究に加えて、海底に沈んだ文化財の状態をより具体的に知るための海底探査を実施した。 海上を航行中の船が物資と共に海に沈み、その痕跡が海底に眠るであろうと想像される。能登半島、佐渡島と本州の間の佐渡海峡という二地域を主な調査拠点としている。日本海沿岸各地や海の文化財に関する情報を、博物館等の保管品を中心に資料収集した。主な調査拠点となる能登半島の海岸、及び新潟県上越市の海岸踏査と漁師の聞き取り調査を継続し、漁師の家に残された海揚がり陶磁器を新たに資料化した。 上越市名立沖7kmのタラバで、半世紀前に漁師が珠洲焼壺等の一括品を引き上げ、その状況から大甕のなかに壺と擂鉢を入れた状態が復元された。その作成図は海揚がり品の基本的な情報となっていた。その発見地点を中心に、水深150~200mの海底をマルチビームで地形測量した。次年度はこの地形図を用いて、自立型ロボットで海底撮影を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海岸及び海底を中心に調査研究することは、偶然の発見にも影響され、計画通りに進まないのが当然である。昨年夏の海底探査予定も、予定日に予期しない台風が直撃し、延期せざるを得なかった。そうした状況にもよらず、かなりの考古学的な情報を収集できたことは、調査研究が順調に進んでいると言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は音響探査を実施した上越市名立沖で、自立型ロボットで海底撮影を行い、遺跡発見に努め、能登半島では潜水調査により海底遺物の収集に努める。日本海域の各地で関連する資料を調査し、それを基礎として、日本海交流とくに陶磁器による日本海貿易を具体的資料で描きたい。
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