2015 Fiscal Year Annual Research Report
声と文字をめぐる宗教実践の研究―東南アジアと隣接地域の比較
Project/Area Number |
15H03282
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 忠良 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (50334016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 一人 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (40708202)
北田 信 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (60508513)
山根 聡 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (80283836)
林 行夫 京都大学, 地域研究統合情報センター, 教授 (60208634)
片岡 樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (10513517)
小島 敬裕 京都大学, 東南アジア研究所, 研究員 (10586382)
川田 牧人 成城大学, 文芸学部, 教授 (30260110)
津村 文彦 福井県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40363882)
吉野 晃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60230786)
伊藤 悟 京都文教大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90633503)
吉本 康子 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (50535789)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 宗教実践 / オーラリティ / リテラシー / メディア / 民族意識 / 身体 / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
東南アジア地域では、聖典とともにもたらされた文字が、単に音声言語を表記する技術にとどまらず、口承を中心とした土着の宗教世界を変容させ、また人々の歴史意識や民族意識にも大きな影響を与えてきた。しかしそれにもかかわらず、口承を中心とした「声」の宗教実践も広くみられる。「書かれた聖典」をもつ宗教実践にとっての「声」と「文字」の使われ方に注目し、東南アジアと近隣地域の比較を行う本研究では、以下の3点について今年度は下記のとおり明らかにすることができた。 ①声と文字からみるリテラシー:ミャンマー、タイ、中国雲南省の上座仏教徒諸民族の仏教文書朗誦文化(小島、伊藤、村上)、タイ国における大乗経典朗誦(片岡)、山地民族の宗教実践(吉野)の研究から、宗教文書をめぐる実践は、常に文字と声の両実践の統合体として現れていることが明らかとなった。 ②メディアの特性:身体に刻まれるイレズミ(津村)、映像に記録される文書朗誦儀礼(伊藤)、聖像にまつわる奇跡譚の文書化(川田)、中世文学作品の演劇化(北田)の研究から、声と文字の宗教実践は、それが記録され・上演され・複製されるメディアのもつ特性に大きく影響されていることが明らかとなった。 ③文字とアイデンティティ:ミャンマーの仏教徒少数民族の諸文字と民族意識の形成(池田)、南アジアのイスラームにおける言語の階層性の変遷(山根)の研究から、言語の使用、特に書かれた文字の使用が人々のアイデンティティ形成に大きな影響を与えていることが明らかとなった。 また、声と文字の双方を伴った宗教文書の使用と民族意識(池田、小島、伊藤、村上、山根)の関係など、①と③が相互に密接に関連している論点があることも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた3つの論点内における各研究テーマの共通性と特異性についての確認を行うことができた。また3つの論点の複数にわたるテーマをいくつか見つけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、3つの論点ごとの分析をさらに進めると同時に、複数の論点にまたがる共通テーマを明らかにし、その特徴を分析する計画である。
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[Book] 仏教をめぐる日本とアジア地域(アジア遊学196)2016
Author(s)
大澤広嗣(編著)、林行夫、奥山直司、小島敬裕、北沢直宏、岡崎礼奈、山田協太、藤本晃、伊東利勝、中西直樹、安中尚史、石原深予、村上忠良、高橋典史、君島彩子、神田英昭、大澤広嗣
Total Pages
244(4-21, 43-64, 180-184)
Publisher
勉誠出版
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