2016 Fiscal Year Annual Research Report
比較事例分析に基づく多元的な行政主体間の連携・協働に関する実証研究
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15H03313
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
伊藤 正次 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (40347258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 暁文 九州大学, 法学研究院, 准教授 (00380650)
荒見 玲子 名古屋大学, 法学研究科, 准教授 (20610330)
手塚 洋輔 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (60376671)
松井 望 首都大学東京, 社会科学研究科, 准教授 (70404952)
鈴木 潔 (鈴木潔) 専修大学, 法学部, 准教授 (70726009)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多機関連携 / 行政学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多元的に分立している国・自治体の行政機関相互の連携・協働の実態を把握し、行政サービスの質を高めるための効果的な連携手法を探究することを目的としている。研究の第2年度となる平成28年度においては、前年度の調査研究で得られた知見をさらに深掘りし、研究全体の見取り図を描き出すとともに、代表者・分担者が担当する事例の研究を進めることに主眼を置いた。 まず、平成28年度の研究の方向性とスケジュールを確認するための第1回(通算第4回)研究会を平成28年5月20日に開催した。その後、多機関連携が進められている分野の一つである青少年健全育成行政に関して、国の取組状況に関する知見を得るため、子ども・若者育成支援推進法の立案に携わった元内閣府職員の方のヒアリングを行った(平成28年9月30日)。また、前年度は扱えなかった消費者行政をめぐる多機関連携の実態を明らかにするため、在外研究中の1名を除くメンバー全員が参加し、徳島県県民くらしづくり局の担当課と徳島県消費者協会に対するヒアリング調査を行った(平成29年3月16日)。あわせて3月17日に第2回(通算第5回)研究会を開催し、平成29年度以降の研究の進め方や研究成果の公開方法等について議論を行った。 以上の研究から、前年度と同様、複数の行政機関を効果的に連携させるには、「人」と「場」という要素が重要であることが改めて確認された。すなわち、行政における多機関連携においては、職員間・組織間の情報と視野を共有することを促すためのリーダーシップとアーキテクチュアとしての執務空間の設計が重要である。ただし、連携手法については、行政分野ごとに多様であることも確認されたため、次年度以降の課題として、連携手法の類型化を進めることが再認識されたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の予定通りに研究会を開催し、専門家の知見を得るとともに、共同または各メンバー単独で現地調査を行うことによって、行政の多機関連携の実態を多面的に観察することができている。とくに平成28年度は、昨年度、共同して調査を行うことができなかった消費者行政における多機関連携ついて現地調査を行い、食品表示制度をめぐる県担当課、県警本部、地方農政局等の国の出先機関の相互関係の実態に触れる機会を得たことは、これまでの研究の視点を確認し、視野をさらに拡張する上でも有益であった。また、国の立法過程に携わった職員の専門的知見を得ることができたことも、関係機関の連携を促すための制度設計それ自体においても、関係府省間での連携が求められたこと等を改めて確認することができた。 ただし、平成28年度までの研究の進展により、多機関連携の実態や手法には行政分野ごとに多様性が観察されることが改めて明らかになった。今後の課題として、この多様性を整理した上で、多機関連携の事例間比較を行うための枠組みをより精緻化することが必要であると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、これまでの調査研究の蓄積を踏まえ、代表者・分担者・協力者が現地調査や文献調査を通じて各々担当する行政分野・事例の研究を深化させ、年度中に中間報告を行い、ピア・レビューを行ってもらう機会を得ることを目標とする。その一環として、平成29年度日本行政学会に公募企画「多機関連携の行政学」を応募し、採択された。同企画では、就労支援、児童虐待防止、消費者行政の3分野について報告し、教育行政学を専門とする行政学会員に討論者をお願いしており、本調査研究の意義や課題について、広く日本行政学会の会員からフィードバックを得ることを予定している。この公募企画の結果を整理した上で、平成29年度は3回程度研究会を開催し、各メンバーの研究に関する中間報告と討議を行うことによって、研究全体の見取り図を描き出し、同時に、多機関連携の多様性を整理するための視座の精緻化を目指す。 さらに、最終年度である平成30年度を見据え、研究成果を最終的に学術図書として公刊することを含め、成果のとりまとめのスケジュールや公開方法についても検討を進める。 なお、引き続きアメリカで在外研究を行っている分担者から随時報告を受けるとともに研究の進捗状況に関する意見交換を行い、研究の推進に支障がないように配慮を続けていく。
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Research Products
(23 results)
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[Book] 公共政策2017
Author(s)
御厨貴・片山善博・増田寛也・砂原庸介・手塚洋輔
Total Pages
282
Publisher
放送大学教育振興会
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