2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H03314
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土屋 礼子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00275504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅森 直之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80213502)
山本 武利 早稲田大学, 政治経済学術院, 名誉教授 (30098412)
加藤 哲郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 客員教授 (30115547)
小林 聡明 日本大学, 法学部, 准教授 (00514499)
井川 充雄 立教大学, 社会学部, 教授 (00283333)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プロパガンダ / メディア / ジャーナリスト / 記者 / 検閲 / 諜報 / ラジオ / 通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの2年目である平成28年度は、残念ながら予定していた国際シンポジウムの開催ができなかったため、研究分担者が各自で研究調査を進め、その成果をまとめ、発表することとなった。 日本のメディアを主な対象とする研究班Aでは、土屋礼子(研究代表者)はAAS-in-Asia 2016において「Journalists of Imperial Japan in China」(英語)を発表し、戦前の代表的なアジア記者・楢崎観一を中心にその活動を明らかにし、「国士的」と評された、国益に積極的に関わった記者のあり方を論じた。梅森直之(研究分担者)は著書『初期社会主義の地形学(トポグラフィー)』において戦前における社会主義思想の観点から中国及びアジアに対する言論活動を論じた。また、山本武利(研究分担者)は著書『日本のインテリジェンス工作』を刊行し、陸軍中野学校をはじめとした日本側の対中国に対する諜報活動を明らかにし、井川充雄(研究分担者)は『戦前期「外地」雑誌・新聞総覧』を監修し、朝鮮・満州・台湾における言論界の様相を明らかにする資料を復刻した。いずれも現在入手し難い資料を発掘し、それに基づく実証的な研究を展開している。 英米のメディアを主な対象とする研究班Bでは、加藤哲郎が「戦争の記憶-ゾルゲ事件からシベリア抑留へ」や「ゾルゲ事件と伊藤律-歴史としての占領期共産党」などの論文で、戦後におけるゾルゲ事件と日中戦争に関する言説を検討した。小林聡明(研究分担者)は「冷戦期アジアの米軍心理戦」で米軍の資料を用いて戦後のアジアにおけるプロパガンダ放送の組織を明らかにした。これらは戦前・戦中・戦後を通して日中戦争に関する報道と宣伝を把握する必要性をさらに明確にした点で意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の土屋が10月から英国に在外研究に赴き、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)ないしはケンブリッジ大学でシンポジウムを開催する予定であったが、協力者側の都合、および土屋の体調が今ひとつ良くなかったこともあり、残念ながら年度内の開催の調整が難しく、次年度に延期することになった。そのため、今年度は研究分担者が各自で調査研究を進めてその成果をまとめていくこととなった。次年度はこの遅れを取り戻すべく、しっかりした内容の国際シンポジウムを開催したい。
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Strategy for Future Research Activity |
第三年目には、中国または台湾、および英国での国際シンポジウムを計画しており、よりグローバルな視点から日中戦争をめぐる国際報道と宣伝戦を議論し、解明することを目指す。すでにケンブリッジ大学のバラク・クッシュナー氏とシンポジウム開催について打ち合わせており、日本と欧米とアジアの研究者がともに参加して多角的な議論を展開できるようにはかるとともに、その内容を英語論文集として刊行する計画も進めたい。
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Research Products
(18 results)