2016 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・太平洋秩序のトランスナショナル・ヒストリー-「文化国際主義」の挫折と再生
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15H03320
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中嶋 啓雄 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (30294169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 豊 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (00278748)
小倉 佳絵 (高光佳絵) 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (10334591)
三牧 聖子 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 助教 (60579019)
廣部 泉 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (80272475)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トランスナショナル・ヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究会を3回開催した。 第1回目の研究会では、アメリカ合衆国から招聘した研究協力者が、アジア・太平洋地域への近代スポーツの伝播、より具体的には戦前に開催された極東選手権大会について、また、研究分担者・三牧聖子氏が両大戦間期の太平洋問題調査会(IPR)の活動を非西洋世界発の学知のネットワークという側面に光を当てて報告を行い、活発な議論がなされた。 2回目の研究会は、1950~60年代の日本の社会科学学界において、アメリカ政治学界との交流の結節点の役割を果たした石田雄・東京大学名誉教授へのインタビューを兼ねたもので、知的刺激に富むものであった。アメリカの「大財団」の助成を得て開催された日米知識人が出席した国際会議等において、ベトナム戦争のようなアジア・太平洋地域におけるアメリカの軍事介入とも密接に関係する近代化論や行動論政治学が、どのように扱われたのかについて、直接話を聞くことができた。 3回目の研究会では、研究分担者・高光佳絵氏がアメリカのジャーナリスト、ロイ・ハワードが戦前の日米関係において果たした役割について、また、研究組織外から招いた研究者が、戦後初期のアメリカ大学人のソ連へのまなざしについて、詳細な報告を行い、質疑応答が続いた。 資史料の収集については、研究組織の各メンバーがそれぞれ関連の文献を収集すると同時に、特任研究員・中村信之氏と研究代表者が、それぞれアメリカ合衆国に出張して、大学図書館・文書館等で関連の一次史料を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり、研究会を3回開催することができた。第2回研究会において、一つのオーラル・ヒストリーとして石田雄・東京大学名誉教授にインタビューできたのも大きかった。 また、組織を構成する研究代表者・研究分担者・研究協力者がそれぞれの主題で実証的な成果を報告・刊行し、今後、学会等でセッションを組織したり、研究成果をまとめる土台が提供された。 関連の文献の収集や国外での一次史料の収集においても一定の成果を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は5月中旬にアメリカ合衆国から研究協力者を招聘して、第1回研究会を開催することが既に決定している。19世紀半ばから20世紀前半にかけて、日米の知識人がアジア・太平洋地域における現代性(modernity)の出現にどのように関わったのかが検討される予定である。 12月にも海外の研究協力者の訪日に合わせて、研究会を開催する。 また、昨年度、一昨年度に引き続き、研究代表者ないし研究分担者が国外に出張して、文書館等で一次史料を閲覧・収集する。
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Research Products
(11 results)