2015 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ計量分析に基づく地域のイノベーション支援制度の評価と設計
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15H03342
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
岡室 博之 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40251730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 淳一 学習院大学, 経済学部, 准教授 (40612742)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イノベーション / 政策評価 / 地方自治体 / ミクロ計量分析 / 中小企業 / 研究開発 / 地域経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度には、中小企業庁委託事業「ミラサポ」ウェブサイトや各地方自治体のホームページから収集した情報と、いくつかの地方自治体への訪問調査に基づいて、地方自治体による研究開発助成に関するアンケート調査を設計・実施した。全国の250事業について有効回答を得て調査報告書(未公開)を作成し、回答者へのフィードバックを行った。 また、研究代表者は、本プロジェクトの内容に関連する研究業績として、日本語の著書(監修と1章の執筆を担当)1冊、英語の共著1冊(連携研究者の池内健太と共同で1章を担当)、査読付き英語論文3本(いずれも研究分担者である西村淳一と共著)、ディスカッション・ペーパーを含む査読なし論文3本(研究分担者の西村淳一、研究協力者の加藤雅俊との共著)を公刊した。さらに、海外の学会(イタリア、フランス、中国)で計4回(うち1回は招待講演)、国内の国際学会・研究会で2回の研究報告を行った。平成28年度には、6月に2件の国際会議報告(ドイツ、米国)、7月(大阪)と9月(東京)に国内学会大会報告を行うことが確定している。 これらの他に、連携研究者の池内健太はディスカッション・ペーパー4本(うち国際共著2本)と査読付き英語論文2本を公刊し(掲載決定を含む)、鈴木真也は国内学会報告を1回行った。研究協力者の本多哲夫は査読付き論文1本と査読なし論文1本、日本語の共著1冊(1章を担当)を公刊し、国内で学会報告を1回行った。研究協力者の加藤雅俊は査読付き英語論文3本(うち国際共著1本)を公刊し、学会報告を2回(いずれも国際共著)行った。 以上の研究実績をまとめると、著書3冊(監修および共著)、査読付き論文9本(うち英語8,国際共著1)、査読なし論文8本、学会等の報告10回(うち海外への招待講演1)となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度には、まず関連文献・資料の探索を行い、近年の研究動向を確認した。科学技術イノベーション政策や地域イノベーションシステムに関する研究関心が高まっているにも拘わらず、地方自治体レベルの政策に関する調査や研究が、世界的に見ても極めて不十分であることが確認された。その主な理由が、地方自治体の施策に関する情報が十分に公開・共有されていないことにあると判断し、中小企業庁委託事業「ミラサポ」のウェブサイトから多くの自治体における中小企業の研究開発支援事業に関する情報を収集するとともに、日本政府の「地方創生」プロジェクトの統括者との面談やいくつかの地方自治体の研究開発助成事業担当者への聞き取り調査に基づいて、地方自治体へのアンケート調査の準備を進めた。 さらに、全国の自治体(都道府県と市区)のウェブサイトから施策情報を収集し、平成28年1月以降、一定規模以上の研究開発助成を行う210自治体294事業(予備調査を含む)を対象として「地方自治体による中小企業の研究開発等の助成事業に関する調査」を実施して、助成事業の内容や審査・採択・評価のプロセス等を調査し、250事業(85%)について有効回答を得た。調査票の作成にあたっては、連携研究者や研究協力者からも重要な意見を得た。上記の高い回答率に示されるように本調査の反響は大きく、調査データの集計・分析結果は平成28年9月に開催される日本中小企業学会全国大会の統一論題セッションで報告されることになった。 また、研究代表者は平成27年9月にオランダのフローニンゲン大学とドイツのZEW(マンハイム)、平成28年3月にベルギーのルーヴェン大学に滞在し、今後の共同研究や共同調査についての打ち合わせを行った。上記の地方自治体調査を、今後、国際共同研究の基盤として活用できる可能性が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に実施した地方自治体施策アンケート調査には大きな反響があり、85%に及ぶ高い回答率を達成した。平成28年度はまず、岡室と西村が中心となってこの調査結果の分析を進め、論文を作成する。調査回答の集計から、助成事業の内容や取り組みについて自治体間の相違が大きいことが分かったので、調査データを地方自治体レベルの統計データとマッチングして、地方自治体による地域企業の研究開発助成の実施要因と、助成制度の内容や実績の決定要因を計量的に分析し、結果を論文にまとめて、主に岡室と西村が国内外の学会で報告する。 また、当初の研究計画通り、平成27年度の地方自治体アンケート調査結果に基づいてさらなる調査の対象地域を絞り込み、平成28年度後半には、できる限り地方自治体の協力を得て、それらの地域の企業や大学研究者等を対象として、国・都道府県・市町村の各レベルにおける研究開発助成の認識・利用と成果に関する大規模なアンケート調査を実施する。企業調査は岡室と西村が中心となって実施するが、調査票の作成や結果の集計・分析には連携研究者や研究協力者を含む全員が関与する。 また、バイオテクノロジー分野に対象が限定されるが、国内調査と比較可能な調査を、マンハイムのZEW研究所と協力して、ドイツのクラスター企業を対象に実施する。さらに、平成29年3月に、中央大学の本庄裕司教授・関西学院大学の加藤雅俊准教授と協力して、アントレプレナーシップとイノベーションに関する国際会議を東京で開催する。 平成29年度には、上記のアンケート調査等の結果の分析を進め、国内外の学会等で報告し、成果論文を海外の査読制学術誌に投稿するとともに、分析結果に基づいて地域のイノベーション支援政策の評価を行い、より望ましい政策のあり方を構想する。
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[Journal Article] Buyers, Suppliers, and R&D Spillovers2015
Author(s)
Ikeuchi, K., Belderbos, R., Fukao, K., Kim, Y.G., and Kwon, H.U.
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Journal Title
NISTEP Discussion Paper
Volume: 114
Pages: 1-24
Int'l Joint Research
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[Book] The Economics of Interfirm Networks2015
Author(s)
Watanabe, T. (eds.), Uesugi, I. (eds.), Ono, A. (eds.), Mizuno, T., Iino, T., Nakajima, K., Okamuro, H., Ikeuchi, K., Saito, Y., Degryse, H., Ogawa, K., Hosono, K. et al.
Total Pages
263 (135-156)
Publisher
Springer Japan