2016 Fiscal Year Annual Research Report
アジア諸社会における人口変動と移動レジームの比較分析
Project/Area Number |
15H03405
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 嘉倫 東北大学, 文学研究科, 教授 (90196288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 智彦 下関市立大学, 経済学部, 特任教員 (00547903)
竹ノ下 弘久 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (10402231)
今井 順 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (30545653)
阪口 祐介 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (50589190)
永吉 希久子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50609782)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 移動レジーム / 人口動態 / 社会移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は本研究プロジェクトの中間年なので、前年度の研究成果を踏まえた上で、研究会メンバーが研究会等で連携して、さらに研究を推進した。その成果は多くあるが、以下に代表的なもの2点を記す。 (1)少子高齢化が、移動レジームにどのような影響を及ぼすのかという点から、少子高齢化と産業構造の変化が、職業の分布にどう影響するかを検討した。職業を時間当たり賃金で序列化し、5つの層に分割して、1992年から2002年にかけての分布の変化を見たところ、とりわけ、賃金で中位水準の職業が、増加していることがわかり、その大半は、保健・医療・福祉に関する職業であることがわかった。また、賃金で下位の職業も増加しており、これらは、非正規雇用の増加と大きく関係していることもわかった。 (2)60歳代以上の1割以上が公的年金以外に頼れる収入源がないと認識しており、男性では資産形成の困難が、女性では家族形成にかかわるリスクが影響していた。特に、女性ではこのタイプの経済状態が悪い。また、60歳未満の層では、公的年金への期待が低く、期待を維持しているのは大企業正社員など厚生年金、共済年金に加入している層であった。このことから、将来年金への依存が高くなると予測される人たちの中で年金への期待が低く、そのことが国民年金の拡充への支持が広がらない一因になっていると考えられる。また、失業や貧困が社会的排除に与える影響についても研究を行い、男性においてのみ失業や貧困が家族外のネットワークからの排除につながることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」で述べたように、研究会における各メンバーの報告などを通じて着実に研究成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は最終年度なので、前年度までの研究成果を踏まえた上で、研究会等を通じて研究プロジェクトとしての総括の議論をする。
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