2015 Fiscal Year Annual Research Report
パラデータを活用した訪問調査法の精度管理と不能バイアス補正に関する研究
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15H03424
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
前田 忠彦 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (10247257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 洋 札幌学院大学, 社会情報学部, 教授 (30325998)
伏木 忠義 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50370094)
松本 渉 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (10390585)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 調査不能 / 訪問調査 / CAPI・CASI / 日本人の国民性 / 回収率 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は次の4点の研究を行った(項目後の()内は主たる担当者である)。(1)概念的な枠組みの準備(松本・前田),(2)既存調査データの活用準備と解析(前田・高田・松本),(3)パラデータのうち調査の有効/不能に対する有力な説明要因とバイアス補正のための補助変数を探索するための方法研究(伏木・前田),(4)次年度に実施する調査の仕様検討。このために年度内に3回の研究会合を対面で行った。 (1)については,先行研究によればパラデータの概念の1990年代後半の提唱時は主に調査実施プロセス中に付随的に取得されるデータを指した概念が,調査過程の諸側面や他のモードによるデータ収集にも適用されるようになってきたという経過を経た。この点について,本研究でもパラデータについて,調査実施時に対象者の回答内容そのものの他に付随的に得られる情報について幅広く考えることとした。 (2)については,電話調査の架電プロセスや,訪問型調査における調査員の訪問記録活動の分析を行った。例えば前田(2016)は統計数理研究所による2012,13年度の訪問調査の調査員活動を記録を分析し,次のような知見を得た:[1]対象者への接触成功率は4回目までは少しずつ伸びるが以後逓減傾向である,[2](対象者に接触できた場合の)協力獲得率は2回目が高く以降低下し,そして時期的には調査開始後4週目以降あたりから漸減する,[3]従来接触が困難とされてきたオートロック付きの住宅での接触成功率は確かに他の住居形態に比べて低いが,協力獲得率については大きな違いはない。 (3)については従来の研究で用いてきた母集団情報が得られる補助変数に加えて,訪問回数の情報をバイアス補正に生かす方法について検討し,平成28年度中に学会発表などをする予定である。 (4)については大まかな方針を検討したが,細部は次年度の検討に委ねられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要中に記載した4つ立てた研究事項について,特に(2)の点については学会発表と,論文発表などを行ったこと,(3)についても一応一つの見通しを得ていること,を考えるとほぼ計画通りの研究を行えたと言える。ただし実績中の(4)について,具体的な調査仕様を十分検討していない点が少し遅れ気味であることを考えれば,評価(1)の「当初の計画以上に進展している」ということはなく,(2)「おおむね順調」との評価が妥当である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度夏から秋にかけて開催される学会等で,平成27年度の成果を発表予定である。また平成28年度後期(恐らく平成29年1月~3月)の実査実施に向けて,計画される訪問方調査(CAPI型の調査を予定)の仕様を年度の前半に充分に詰めておく必要があり,平成27年中の成果の論文化と平行して,充分に時間をかけた検討を行う。
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Research Products
(13 results)