2016 Fiscal Year Annual Research Report
非営利-営利法人格の戦略的選択:民営化政策の再帰的課題
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15H03433
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
須田 木綿子 東洋大学, 社会学部, 教授 (60339207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 公一 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (10181140)
森川 美絵 国立保健医療科学院, その他部局等, 特命上席主任研究官 (40325999)
今村 肇 東洋大学, 国際学部, 教授 (70176501)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 営利 / 非営利 / 高齢者ケア / 市民 / 対人サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は5カ年の計画であり、平成28年度はその2年目にあたる。得られた成果は下記の3点である。 まず、当初の計画にしたがって、2005年~2012年に収集した調査データを再分析し、非営利と営利の双方の法人格を有する組織の広がりと、その理由や経緯を把握した。平成28年度は、その成果を社会政策学会の年次大会にて報告した。好評を得て、平成29年度学会誌の特集号として、論文の掲載が決定している。 もうひとつの目的は、非営利・営利の法人格を同時に有することと組織のミッションとの関係を把握することとであり、こちらについてはアンケート調査の実施を計画していた。しかし、上記の2005年~2012年データの再分析の過程で、この課題についても把握が可能であることが判明した。そこで、まずは上記とは別の視点からのデータの再分析を改めて行い、結果を福祉社会学科にて報告した。さらにその内容をふまえて英文論文を執筆し、平成29年度4月に投稿の予定である。なお、当初に予定していたアンケート調査は、研究期間の後半での実施を検討している(「研究の推進方策」の項参照)。 さらにこの間、サービス利用者や市民との関係についても検討を進めている。その成果の一部を、平成29年度に北京で開催されるAssociation for Research on Nonprofit and Voluntary Actions: Asian Conferenceに向けて報告すべくプロポーザルを提出し、採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定よりも早期に研究が進んでいる。その理由は、非営利・営利の法人格を同時に有することと組織のミッションとの関係について実施する予定であったアンケート調査を行うことなく、法人格の選択とサービス供給過程に関する聞き取りおよびタイムスタデイ調査に進んでいるからである。アンケート調査を実施していないのは、当初に検討していた課題が既存のデータで把握可能であることが判明したからである。しかしかわって、非営利と営利の法人格の両方を有している組織について、さらに立ち入っての事例調査を必要とする可能性が出ている。この事例調査のなかで、対象から了解が得られれば、職員を対象とするアンケート調査も実施することにもなろう。現段階では順調であるが、後半は時間的にも資金的にも予断はゆるされない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画が順調に進んでいるので予定を前倒しして、法人格の選択とサービス供給過程に関する調査に着手した。非営利と営利の法人格を有する入所施設にて、職員への聞き取り調査と介護職員を対象とするタイムスタデイ調査を開始している。平成28年度には非営利施設への調査と、営利施設への調査の一部を完了した。平成29年度にはひきつづき、営利施設への調査を行う。 今後の課題としては、非営利と営利の法人格の両方を有している組織について、さらに立ち入っての事例調査を必要とする可能性が出ていることである。「現在までの進捗状況」において述べたとおり、慎重な判断が必要なところであるが、研究期間はまだ3年残されているので、余裕をもって必要な調査を計画・実施できると考えている。
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Research Products
(7 results)