2015 Fiscal Year Annual Research Report
生活困窮者支援における地域生活の持続可能性に関する研究
Project/Area Number |
15H03437
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
山田 壮志郎 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (90387449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉住 隆弘 中部大学, 人文学部, 准教授 (60535102)
水谷 聖子 日本福祉大学, 看護学部, 教授 (80259366)
谷口 由希子 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (80449470)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会福祉関係 / 貧困・公的扶助 / 生活困窮者支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生活困窮者の地域生活が持続可能なものになるための条件を明らかにすることである。平成27年度から施行された生活困窮者自立支援法の理念である「排除されやすい人々が包摂されるための支援システムの構築」を達成するためには、支援事業の利用終了後も地域での安定した生活を持続することが不可欠であり、そのための条件を解明することが本研究の目的である。 上記の目的に接近するため、平成27年度には、ホームレス経験のある生活保護受給者等を対象とした生活実態調査を実施した。生活困窮者支援の実績が豊富なNPO法人ささしまサポートセンターに委託し、302名の対象者から回答を得た。調査項目は、家賃等の滞納経験、精神的健康度、孤独感、アディクションの状況などである。また、支援団体との関わりが地域生活の持続可能性に与える影響を明らかにするため、データベースシステムを構築し、調査対象者が同法人の事務所に相談に訪れたり、同法人が主催する行事などに参加したりした頻度を記録してもらった。 この生活実態調査を本研究の基軸としながら、それに付随する研究活動を実施した。第1に、NPO法人ささしまサポートセンターによる生活困窮者支援の実際を把握するため、同法人が居宅生活に移行した人々を対象に実施している交流会行事等にフィールド調査として参画した。第2に、従来ホームレス対策として各自治体が実施していたシェルター事業や自立支援センター事業が、生活困窮者自立支援法施行後、どの程度継続実施されているかを把握するため、全国の自治体を対象としたアンケート調査を実施した。第3に、刑務所等の出所後に帰住先がなく生活困窮状態に陥る刑余者の地域生活を持続させるための支援方策を把握するため、2ヶ所の社会復帰促進センターを訪問し、事業内容等についてヒアリングした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホームレス経験者の生活実態調査については、当初の予定通りに実施することができた。ただし、回答者の確保については、当初は350名を見込んでいたが、実際には302名と目標を達成することができなかった。 しかし、ホームレス対策事業の継続状況調査や、刑余者支援に関する社会復帰促進センターへのヒアリング調査など、当初は予定していなかったものの本研究の進展に大きな示唆を与えうる調査活動を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、平成30年度までの4年間の研究を予定している。ホームレス経験者の生活実態調査は、平成28年度以降も継続し、パネル調査の形で実施する。研究代表者は、平成24年度から26年度にかけても同種の調査を継続しており、最終的には7年間のパネルデータを収集できる見込みである。平成27年度の調査データを精査しつつ、継続的に対象者の生活実態を把握することで、地域生活の持続可能性の条件を明らかにしたい。 なお、平成28年度は調査対象者に対する継続的な健康支援の取り組みが地域生活の持続に与える影響を把握することを目的とした参与観察的調査も予定している。
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Research Products
(5 results)