2017 Fiscal Year Annual Research Report
社会福祉士のスーパーバイザー養成プログラムの開発と評価
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15H03440
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡田 まり 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40309076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 靖子 久留米大学, 文学部, 准教授 (30389580)
野村 豊子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70305275)
潮谷 有二 長崎純心大学, 人文学部, 教授 (90285651)
潮谷 恵美 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (70287910)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スーパーバイザー / スーパービジョン / 社会福祉士 / 認定社会福祉士 / ソーシャルワーカー / ソーシャルワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、郵送調査を実施するとともに、開発したプログラムを試行した。 郵送調査については、社会福祉士のスーパービジョン(以下、SVとする)の実態を把握するために、認定社会福祉士認証・認定機構に登録されているスーパーバイザー493名を対象とする「スーパーバイザー実態調査」と日本社会福祉士会に登録されている認定社会福祉士484名を対象とした「スーパーバイジー実態調査」を実施した。回答したスーパーバイザー217名(回収率44%)のうち、認定社会福祉士が誕生してからの4年間でSVを実施したのはほぼ半分の115名だった。スーパーバイジー回答者220名(回収率45%)のうち212名(97%)がスーパービジョンの必要性を認めながら、認定あるいは更新のためのスーパービジョンを受けた経験がないものが138名(62%)を占めており、SVの実施状況は低調であることが明らかになった。 プログラムは、先行研究および本研究で収集したデータ等を考慮した結果、A(講義と演習から成る基礎研修)、B(グループのなかでバイザー・バイジー・観察者を体験する模擬スーパービジョン)、C(スーパーバイザー経験者のスーパービジョン・ケースへの小集団におけるスーパービジョン)の3部構成とした。プログラムを受講して評価に協力する研究協力者を登録スーパーバイザーから募集して、Aは福岡、東京、京都の3カ所で実施し、合計79名が受講した。また、BとCは1回ずつ東京で実施、それぞれ38名と22名が受講した。研究班は、プログラムを運営するとともに講師とスーパーバイザーを務め、受講者のフォーカス・グループインタビューやチェックリスト等のデータ収集を行った。その結果、受講者の満足度は概ね高いが、プログラムの構成や内容は改善の余地があること、事前課題の取り扱いや教材、評価方法など引き続き検討が必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね研究計画にそって、郵送調査とプログラムの実施・評価ができた。 郵送調査では、スーパーバイザーとスーパーバイジーそれぞれを対象とする調査でスーパービジョンの実態把握のためのデータが得られた。 プログラムについては、当初の計画では、事前研修(1日)とスーパー ビジョン実践(2日)から構成されていた。しかし、A(基礎研修1日)、B(模擬スーパービジョン1日)、C(スーパービジョン・ケースへのスーパービジョン1日)の3部構成に変更して、目的と内容がより明確になり、対象者の実態やニーズに応じたものへと改善できた。また、プログラム実施によって、さらなる改善点も確認できた。一方、評価尺度の信頼性・妥当性が十分に確認できず、評価方法については見直しが必要であることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
プログラムを仕上げるとともに、その普及に向けての提言を行う。そのために次の2点を行う。 第一に、スーパービジョンの実態調査の結果を踏まえて、スーパービジョンの先駆者や指導的な立場にある専門職/研究者数名を招いてシンポジウムを開催し、スーパービジョンの課題と今後の取り組みの方向性について検討を深める。 第二に、開発中のプログラムを修正のうえ実施し、その評価結果に基づいて最終調整を行う。当初の計画では2017年度と2018年度は同じプログラムを実施し、準実験計画法で未受講者群(2018年度受講前の参加者)と受講者群(2017年度受講者)の比較によってプログラム評価を行う予定であった。しかし、2017年度のプログラム試行状況から、プログラム運営、研修内容の質の担保、評価尺度の信頼性と妥当性などに関する課題が明らかになった。そのため計画を変更し、2018年度は、まず課題に対応する。具体的には、プログラムを実施・受講しやすいように、3部構成(3日)から2部構成(2日)に再編する。また、常に一定の教育効果をあげられるように、これまで講師がデモンストレーションしていた部分をDVD化するなど、教材を作成する。評価尺度も見直し、プログラムの変更に伴って評価方法は準実験計画法から時系列分析に変更する。修正したプログラムは、受講者(研究協力者)募集に応募した社会福祉士を対象に、研究班メンバーが講師、スーパーバイザー、事務局を担いながら実施する。そして、参与観察、受講者のフォーカス・グループインタビュー、チェックリスト、質問紙などのデータを総合的に評価し、プログラムの最終調整を行う。 最後に、シンポジウムとプログラム評価に基づいて、スーパーバイザー養成プログラムのモデルとその普及に向けての取り組みについて提言する。
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