2016 Fiscal Year Annual Research Report
Interactions of bottom-up and top-down signal of vision in human brain
Project/Area Number |
15H03460
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗木 一郎 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80282838)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩入 諭 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70226091)
程・ 康 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 副チームリーダー (70425635) [Withdrawn]
松宮 一道 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (90395103)
田中 啓治 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (00221391)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 視覚情報 / 脳内 / フィードバック / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
色の感覚の基準点となるユニーク色および,網膜レベルでの情報表現である枢軸色に対する脳活動を,色同定課題および文字記憶課題の実行中に fMRI で測定する実験を行った.その結果,第4次視覚野において特に,色同定課題/文字記憶課題の間で脳活動が大きく変化することが明らかになった.この成果は映像情報メディア学会の研究会において報告し,抄録集に論文を掲載した. 等輝度の色パターンの視覚刺激の運動と,輝度パターンの視覚刺激の運動に対し被験者が順応した後で生じる脳活動の変化について,順応指数による評価と,共分散構造解析を用いて検討した.その結果,色パターンの動きに順応下後で輝度パターンの動きを見せた時に誘発される脳活動は,通常の運動残効から期待される脳活動とは逆になることを発見した.すなわち,色運動と同じ方向の輝度運動に対し,逆方向より大きな脳活動が観測された.脳内の部位の結合性を共分散構造解析で調べたところ,色情報を処理する V4 野から運動情報を処理する MT 野への寄与が,色順応時に特に大きくなっていることを示唆する結果を得た. 色の情報処理における高次情報(言語)のフィードバック効果について調べた,現代日本語話者の色名カテゴリーに関する研究論文が掲載された.結果,30 年前に報告された同種の実験と比較して特に水色が青から独立した過程が定量的に示された.これは脳の中における言葉と色情報表現の結びつきが社会的同意に伴って変化したことを示している.この成果をまとめた論文が掲載され,国内外の多くのウェブニュースに加え,国内では朝日小学生新聞の1面に取り上げられるなど,注目を集めた. また,同時対比(周辺に呈示した色や傾きに影響され,中央部の見え方が変わる現象)の図形を数10msの短時間で呈示すると知覚が増強される発見について報告した論文が受理され,掲載が確定した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳内における視覚情報の相互作用,さらには高次領野からのフィードバックによる視覚信号への影響について,fMRIによる計測とその分析を共分散構造モデルならびに空間パターン解析を用いて研究を進めることができた. 脳内において運動と色の情報を処理する部位が独立であることを考えると,色を持った物体(ボールや車など)の運動が正常に知覚されることは何らかの相互作用が必要である.色運動と輝度運動の信号の相互作用に関する fMRI 研究を行った結果,色運動に順応した場合に限り輝度運動に対する fMRI 信号が強調されるという新しい現象を発見することができた.このときの脳活動を共分散構造解析によって調べた結果,特に色情報を専門的に処理する脳部位(V4野)と運動情報を処理する脳部位(MT野)との結合性が高くなっていることを示す結果が得られた.これは色運動刺激によって生じる V4 野の活動が MT 野に正のフィードバックを生じている可能性を示しており,正しく遡行性信号と順行性信号の相互作用が起きている証拠と考えられる. また,色の知覚に関する情報処理が,言語的な情報処理に関連する脳部位からのフィードバックを受けていると思われる現象を記録することができた.短時間で文字を記憶し比較する課題(ツーバック課題)を行っている際に,特に色の見えの評価において基準となるユニーク色(赤/緑,青/黄の4色)に対する脳活動パタンが大きく影響を受けていることが明らかになった.色の知覚は視覚野だけに留まらず,言語情報を処理する部位を含む脳の広い範囲から遡行性(フィードバック)情報の影響を受けている事が客観的に示された. 以上のように,脳内において順行性情報と遡行性情報が相互作用する事により生じる脳活動を他覚的に捉える事に成功し,研究は順調に進展していると判断できる.
|
Strategy for Future Research Activity |
色の見えに関する情報処理(ユニーク色/枢軸色)における遡行性・順行性情報の相互作用および,色運動と輝度運動の信号の脳内における遡行性・順行性情報の相互作用について,領野間の結合性の解析などを加える.追加実験などを行い,論文投稿の準備を進める. 色の見えに関する情報処理については,ユニーク色/枢軸色のいずれも等輝度の制約下で実験を行ったが,典型的なユニーク色に見えない問題があったため,等輝度の制約を外した補助実験を行う.脳活動パターン解析として近年よく使われている相関係数を用いてパターン間の距離を定義する方法を応用し,認知課題の変化に伴う脳活動パターンの変化を評価する方法を確立して行く.色/輝度運動信号の脳内での相互作用に関する研究については,通常の運動残効が知覚されている状況下で,それと反する脳活動が生じている原因について考察を行い,補助実験を行う.さらに,共分散構造解析を用いて領野間の結合性が順応/テスト刺激に対する脳活動をどのように変容させているかについて検討を進める.いずれも補助実験を行いながら論文の執筆を進め投稿する. また,最近発見した短時間呈示により空間的な同時対比効果が強まる現象について,脳内の順行性情報と遡行性情報の相互作用による効果が予想されるため,そのメカニズムについて脳機能計測と心理物理学的実験,さらには計算モデルを組み合わせた研究を推進する. これらの研究成果を国際会議において報告し,この研究分野の研究者との意見交換をもとに論文を執筆し,国際的な論文誌への発表を行う予定である.
|
Research Products
(14 results)
-
-
[Journal Article] The modern Japanese color lexicon2017
Author(s)
Kuriki I, Lange R, Muto Y, Brown AM, Fukuda K, Tokunaga R, Lindsey DT, Uchikawa K, shioiri S
-
Journal Title
Journal of Vision
Volume: 17
Pages: 1-18
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-