2015 Fiscal Year Annual Research Report
中等国語科における批判的読解力の診断評価システムの拡張と活用による授業改善
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15H03503
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
間瀬 茂夫 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90274274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 充 島根大学, 教育学部, 教授 (00283044)
高旗 浩志 岡山大学, 教師教育開発センター, 教授 (20284135)
砂川 誠司 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (20647052)
冨安 慎吾 島根大学, 教育学部, 准教授 (40534300)
中井 悠加 広島大学, 教育学研究科(研究院), 特任助教 (40710736)
河野 智文 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (70304144)
武久 康高 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70461308)
山元 隆春 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90210533)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 学力評価 / クリティカル・リーディング / 中等国語科 / 学力調査 / 読解力 / メディア・リテラシー / 授業改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年次である平成27年度には、3つの研究課題に取り組んだ。1点目の読解モデルの拡張については、二つの方向で研究を進めた。一つは想定する学習者像の拡張である。高等学校の学力上位層だけでなく低位層や中学校段階に範囲を広げることにした。もう一つは、評価を行う読解力の範囲の拡張である。評論・小説・古典という線条的なテキストの領域に,メディア・リテラシーを加えるとともに、能力についても協同性を取り入れたものとした。そのために、イギリスのGCSEおよびPISA2015の分析を行い、示唆を得た。 2点目の評価問題および評価指標の開発については、高等学校段階と中学校段階について、それぞれ具体的な評価問題の開発を行った。高等学校段階については、汎用性を高めるため教科書教材から素材を選定し、問題を開発した。中学校段階については、メディア・リテラシーについて評価問題の枠組みと具体的な設問を開発した。 3点目の教師及び授業改善へのアプローチに関しては,国内における授業研究、学会における研究交流,国内外の国際バカロレア校への授業観察という3つの方法を用いて行った。授業研究については、第I期の研究成果である「高次読解力の評価ハンドブック」を用いて、高等学校の現職教員を対象とした研修を通じて実現した。研究交流については、第128回全国大学国語教育学会において、「高次読解力の評価」をテーマにしたラウンドテーブルを開催し、パフォーマンス評価を軸とした評価のあり方について視点を得た。国際バカロレア校については、国内の関西学院千里国際中等部・高等部とシンガポールのUnited World College of South East Asia East Campusにおいて、授業観察を行い、批判的読解力を育成する具体的な指導方法について示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学習者の能力層および発達段階、読解の領域およびジャンル、能力の種類の全てに渡って、評価の範囲や枠組みを広げたため,読解力モデルを拡張し,整合性について調整するのに手間と時間を要した。また,評価問題の作成に際しては,読解の対象となる文章や素材文の開発と、新しい様式による設問の開発に手間取っている。このため、学習者への調査の実施を行うことができなかったことが遅れの原因となった。 しかし、一方で、高次の読解力、批判的な読解力を実際に育成している国際バカロレア校への学校訪問と授業観察が実現したことで、教師および授業改善に関する3つ目の課題について、先んじて進めることができた。また、国内でも高校の現場の教師と研修を行うことができ、授業研究へと進んだ。この点では、計画より先に進むことができているので、2年度目には、当初の計画に追いつくことができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,開発した評価問題を用いた調査を通して,診断的評価のための評価指標を作成すること,また,観察を行った先駆的授業の分析を通して,批判的読解力を育成するための授業モデルの開発を行うことを研究の課題とする。 具体的には,高校段階については,一つは,古典領域の教科書教材を用いた評価問題について調査を行い,評価指標を作成するとともに,実験的授業を行う。もう一つは,小説領域の教材を扱ったもので,協同的過程を取り入れた調査を試みる。 中学校段階については,一つは批判的読解力を対象として,二つ目はメディア・リテラシー領域を対象として,評価問題を用いた調査を行い,評価指標を作成することとする。 海外読解力領域については,イギリスのGCSE,またアメリカのSATを対象として,評価の枠組みと,具体的な評価問題の分析を行い,示唆を得る。
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Research Products
(15 results)