2017 Fiscal Year Annual Research Report
国際連携研究を土台とした生活者育成をめざすレッスン・スタディのモデル構築
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15H03505
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
貴志 倫子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60346468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 紀子 大阪体育大学, 教育学部, 特任教授 (90212597)
井元 りえ 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (30412612)
一色 玲子 安田女子大学, 家政学部, 助教 (30582241)
亀井 佑子 愛国学園短期大学, 家政科, 教授 (90557331)
鈴木 真由子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60241197)
羽根 裕子 名古屋文化短期大学, 家政学部, 准教授 (00748098)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 各教科の教育 / レッスン・スタディ / 責任ある暮らし / 生活者育成 / 家庭科 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.生活者育成のレッスン・スタディのモデル検討と国内での実施 前年度までの家庭科授業研究に関する事例研究と国際調査,および研究協力者(麹町女子学園神澤志乃教諭)の勤務校で,平成28年度に行った授業研究をもとに,生活者育成の具体的かつ効果的な授業構成や方法論を検討し,レッスン・スタディのモデルとして整理した。
2.レッスン・スタディのモデルの国際的検討 平成29年8月にアイルランド,スウェーデン,シンガポールより海外連携研究者を招聘して家庭科のレッスン・スタディに関する国際会議を開催した。上記3カ国の招聘者とアメリカ,中国からの参加を含む家庭科教育の研究者と学校教育関係者42名が,責任ある暮らしのための生活者育成のあり方について協議し,授業研究を軸にした交流の基礎を築くことができた。第Ⅰ部シンポジウムでは,日本を含む4カ国からの報告により,各国における生活者育成のための教育を改善する取り組みの多様な様相が明らかにされた。第Ⅱ部ワークショップでは,1.のレッスン・スタディモデルの一部を体験的に行うため,消費生活や環境への配慮を軸に食品選択を行う題材を用い,DVDによる授業視聴とその授業についての協議,意見交流活動を企画立案した。その結果,提案したレッスン・スタディモデルは,題材の内容,手法ともに,各国のカリキュラム等の違いを超えて共通理解を図りながら授業の評価と改善の手立てを具体的に交流できるものであることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,グローバルな視野から責任ある生活者に必要な能力を明らかにするとともに,その生活者育成のためのカリキュラムと実践のためのレッスン・スタディのモデル構築を国際連携の下で実現することを目的とし,次の6点を明らかにすることをめざしている。 1)世界の授業研究の動向把握,2)「責任ある暮らし」を実現するための生活者に必要な能力の整理,3)国内外の生活者育成に関するカリキュラムの収集,分析と教育課題の把握,4)各国の授業研究の実際と日本の家庭科における授業研究への関心の国際調査,5)生活者育成のレッスン・スタディのモデル試作と実施およびその国際的検討,6)以上をもとにした,生活者育成をめざす教師の授業力向上のためのレッスン・スタディのモデルの提案と発信。 このうち,1)~5)について当初計画通りに終え,本年度までにその成果報告を学会発表により行い,一部は論文投稿を行った。5)について国際会議の実施報告書を平成30年3月に日本語版,英語版で発行した。本報告書を海外連携研究者をはじめとする関係者に配布するとともに,国外に向けて広く情報を発信するための準備に着手している。また,研究成果の発表と論文化に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究成果を発表し,論文化をはかるとともに,国際会議の成果を中心にWEBによる情報発信を行う。具体的には次の計画である。 1.レッスン・スタディのモデルに基づく授業研究の分析:研究協力者との2年間にわたる授業研究にかかる議論と研究授業,その協議会などの記録の分析を行い,生活者育成の具体的かつ効果的な授業構成や方法論を検討し,レッスン・スタディのモデルの精査を行う。 2.レッスン・スタディのモデルの国際的検討:H29年度実施の国際会議の成果と課題をまとめ,レッスン・スタディのモデルに国際的な検討を加える。国際会議報告書を,会議に招聘したアイルランド,スウェーデン,シンガポールなどの研究者・実践者をはじめとする各国研究者と共有し,各国での生活者育成のためのレッスン・スタディの進展を追跡する。そのためにアイルランド,シンガポールへの渡航を調整し、レッスン・スタディの視察を行う計画である。それにより,提案したレッスン・スタディのモデルの汎用性を検証するとともに,レッスン・スタディをとおした国際連携の方策を海外連携研究者の協力を得て検討する。 3.生活者育成のためのレッスン・スタディモデルの構築と研究成果の国内外への発信:日本と各国とのレッスン・スタディをとおした交流をもとに,国際的に共有可能な,生活者育成の具体的かつ効果的な授業構成や方法論を明らかにする。研究成果を論文にまとめるとともに,webサイト作成によって国内外への情報発信を行い生活者育成の教育における授業研究のプラットフォームづくりをすすめる。
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Remarks |
国際会議報告書を発行した Toward Quality Improvement in Home Economics Education:Bridging Japan and the world through perspectives on lesson study, 2018(59 pages),家庭科の質的向上を目指して:レッスン・スタディを視点として日本と世界をつなぐ,2018(全64頁)
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Research Products
(6 results)