2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H03527
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
浅岡 定幸 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 准教授 (50336525)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノ機能材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
①アンテナ薄膜におけるポルフィリン配列の解明:我々は既に完全垂直配向したシリンダー型のミクロ相分離構造をテンプレートとして、ポルフィリンをに相分離界面に位置選択的に集積化することに成功している。この薄膜についてGI-SAXS測定を行ったところ、面外に現れるスメクチック液晶の層状構造に起因するピークの両側に特異なスポットが確認された。これらのスポットはポルフィリンによる散乱ピークであり、シリンダー周りに環状に集積化されたポルフィリンが、シリンダーの長手方向に沿って多層集積化された構造を形成していることが明らかになった。
②薄膜中におけるポルフィリンの配向制御:亜鉛ポルフィリンの直近に1,2,3-トリアゾールを導入したブロック共重合体を合成し、薄膜内でのポルフィリンの配向方向制御を試みたところ、ポルフィリンは軸配位を通じてスリップスタックした二量体を形成することが判り、ポルフィリン周りの立体障害を変化させることによって、軸配位の程度(二量体中でのポルフィリン間の相対距離)を制御できることを明らかにした。
③軸配位が光電変換特性に及ぼす影響:吸収スペクトルにおいて二量体を形成したポルフィリンは分裂したSoret帯を示すことが知られている。薄膜の蛍光発光の励起スペクトルは吸収スペクトルに一致した分裂を示したのに対して、太陽電池のIPCEスペクトルは分裂を示さず、軸配位していない単独の亜鉛ポルフィリンの吸収スペクトルに一致したスペクトルを与えた。このことから薄膜中で全てのポルフィリンが均一に二量体を形成しているわけではなく、一部単量体として存在している部分があることが判った。変換効率についても軸配位子を持たないブロック共重合体に対しては寧ろ若干低下したことから、二量体を形成している部分がトラップサイトとなっており、発光によるロスが生じていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薄膜中でのポルフィリンの配列を明らかとし、研究計画当初に想定していた通り、環状に多層集積化した構造体を形成していることが証明された。一方で、ポルフィリンの配向方向制御については未だ薄膜内で均一な二量体を形成することができておらず、ポルフィリン周りの構造を再検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
不均一な二量体形成がトラップサイトとなることが明らかとなったことから、①これを均一化すべくポルフィリン周りの分子設計を再検討するか、②寧ろ軸配位子を持たない設計に戻し、ランダムに配向した均一な構造を形成するかの何れかの方策が可能であるものと考えられる。今後はこれらの両面からポルフィリン周りの分子構造を最適化するとともに、疎水性セグメントの短縮化によるシリンダー密度の増大を進め、色素増感太陽電池としての変換効率の向上を目指す。 また当初の計画通り、シリンダー部への固体半導体の導入による全固体化を進める。
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Research Products
(12 results)