2016 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物単結晶ナノワイヤの界面設計による機能創出
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15H03528
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳田 剛 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50420419)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 単結晶ナノワイヤ |
Outline of Annual Research Achievements |
数機能性金属酸化物から構成される新しい単結晶ナノワイヤに関する研究に着手し、①Vapor-Liquid-Solid (VLS)法を用いて単結晶酸化物ナノワイヤが形作られる本質を原子・分子レベルの観点から明らかにし、従来は不可能であった機能性金属酸化物材料のナノワイヤ構造化に世界に先駆けて成功してきた。また、②in-situナノワイヤヘテロ界面形成法を新たに開発し、超高品質な新奇ヘテロ界面を創出してきた。更に、③1本のナノワイヤの電気輸送特性を検証するデバイスをシリコン基板上に構築する技術を確立し、その代表的な成果として電界誘起抵抗変化現象(メモリスタ)の本質的なメカニズムを抽出することに成功した。これら一連の研究を進めるうちに、ナノワイヤ表面・界面における電子構造を設計する困難さこそが、巨大な比表面積を有する単結晶ナノワイヤの機能発現を妨げる最も本質的な問題であると考えるに至った。このような背景のもと、本研究では、上記単結晶酸化物ナノワイヤの最も原理的な問題を、独自のヘテロ界面制御法を駆使して世界に先駆けて打破し、その新学理の構築と共に新しい電子伝導機能を実証することで、単結晶酸化物ナノワイヤの新潮流を創出する。金属酸化物から構成される単結晶ナノワイヤは、水や大気と本質的に馴染みが良く、粒界を介することなく外部と電気的に接続可能な空間構造や多彩な酸化還元物性等の極めて魅力的な特徴を有するため、界面電子移動を伴った様々な応用展開が期待されている。しかし、ナノワイヤ表面・界面を制御する方法論が確立されていないため、外部へ抽出可能な電子物性機能は著しく限定されている。本研究は、単結晶酸化物ナノワイヤの表面・界面における電子構造を独自のヘテロ界面制御法で設計することにより上記本質的な問題を克服し、単結晶ナノワイヤに潜む卓越した電子伝導と新しい機能(熱電変換・分子認識)を創出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来は大気暴露により困難であった清浄なナノワイヤヘテロ界面を“in-situナノワイヤヘテロ界面形成法”を駆使して形成し、単結晶酸化物ナノワイヤの表面・界面を制御した。酸化物ナノワイヤの表面・界面を制御するために、格子定数、バンドギャップ、結晶性を変化させた様々な酸化物シェル層を、ナノワイヤ形成後に大気暴露を介すことなくVLSナノワイヤ結晶成長モードからVS薄膜結晶成長に雰囲気を変調させることでin-situでナノワイヤ表面上に形成した。シェル層にはバンドギャップが大きく、組成ずれによって絶縁性が崩されにくい酸化物材料群を選択した。コアのナノワイヤ材料としては比較的移動度が大きなSnO2, In2O3, ZnOをモデル系として用いた。上述した物性パラメータを変化させたシェル層をナノワイヤ上に形成させ、コンビナトリアル的に輸送特性とシェル層との相関を検討した。輸送特性評価は、研究実績のある①横型ナノワイヤFET構造(移動度、電気抵抗率)、②マイクロ波共鳴法と時間分解PL測定を組み合わせた手法(非接触で輸送特性評価が可能:光励起キャリア寿命、移動度)を用いて行った。このように、従来技術では困難であった清浄なナノワイヤヘテロ界面を形成する独自の手法を駆使してナノワイヤ界面を設計することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画・方法(つづき)
平成28-29年度:表面・界面が精密制御された酸化物ナノワイヤの新しい機能創出: 前年度までに創出された表面・界面が高度に設計された新しい単結晶酸化物ナノワイヤとそのヘテロ構造の新しい電子伝導機能を実証する。精密に制御された酸化物ナノワイヤ表面・ヘテロ界面を用いて、電流値変化による分子認識機能を実証する。シリコン基板上における単一の酸化物ナノワイヤ素子を形成する技術は既に構築済みである。従来は困難であった電子構造が設計されたナノワイヤ表面・ヘテロ界面を活用することにより、分子との相互作用により誘起されるナノワイヤ表面上の多彩な酸化還元反応(電気抵抗変化)を創出し、分子認識機能を実現する。検証すべき項目として、ナノワイヤ電気伝導度と雰囲気(温度・濃度(1ppm以下)・分子種(NOx,CH2O, CO, O3等)との相関性、ナノワイヤのサイズ(表面伝導)と材料種(酸化還元物性)が得られた電気抵抗変化に与える影響を解明する。加えて、多種類の分子が混在する雰囲気で、所望の分子を高感度に電気的に認識する実験を行う。現象論的には、①フィジソープションとケミソープション間の競合現象と②ナノワイヤ表面における分子との化学反応が電流値に大きな影響を与えることが想定される。そこで、FT-IRを含めた分光学的手法を用いて表面における分子状態に関する情報を得て、電流応答との相関性を検証する。単一材料のナノワイヤ素子において所望の分子群の電流検知が困難であった場合は、異種材料で構成されるナノワイヤ素子群の電流応答性の差異を駆使して特定の分子を電流認識する。上記一連の研究を右図で示す研究体制で遂行する。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Tailoring Nucleation at Two Interfaces Enables Single Crystalline NiO Nanowires via Vapor-Liquid-Solid Route2016
Author(s)
Nagashima, K., H.Yoshida, A.Klamchuen, M.Kanai, G.Meng, F.Zhuge, Y.He, H.Anzai, Z.Zhu, M.Suzuki, M.Boudot, S.Takeda and T.Yanagida
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Journal Title
ACS Appl. Mater. & Inter.
Volume: 8
Pages: 27892-27899
DOI
Peer Reviewed
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