2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of high-ZT single-molecule thermoelectric devices
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15H03543
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
筒井 真楠 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50546596)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子エレクトロニクス / 熱電 / 単分子科学 / ナノコンタクト / 量子効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、単分子接合の熱電特性にとって最適な分子設計及び電極-分子接点構造設計の指針を立てることを目的とした。そこで、まず分子アンカーの寄与を調べるために、Auナノ接合を用いて、ベンゼン環のパラ位が両方チオール、両方アミン及び片側チオール/反対側アミンの分子について、1分子熱電計測を実施した。その結果、チオール基を有する分子において、単分子接合の引っ張り過程でパワーファクターが顕著に向上する傾向が観察された。第一原理計算により接合の変形過程をシミュレートしたところ、これはアンカー原子とチオール間の距離が数Å以上離された時に起きる現象であることが明らかとなった。また、アミンと比べてチオールはAuに対してより強固に結合する。よって、1分子熱電素子にとってチオール基はアミノ基より優れたアンカーであることが示唆された。 また、より高い1分子熱電特性の達成を目指して、長さが異なるオリゴチオフェン分子の熱電特性測定を実施した。その結果、ベンゼン等のHOMO-LUMOギャップが大きい分子と比べて高いゼ―ベック係数が得られた。 さらに、次年度の目標として設定している1分子熱電特性における最適な電極材料の検討について、前倒しで予備実験を行った。愚痴的には、金属成膜時の条件や下地金属等を工夫し、Pt、Ag、Cu、NiについてMCBJ素子作製を試みた。その結果、PtとCuについては、接合作製に成功し、ブレークジャンクション法による熱電計測を実施することにも成功した。特に、Pt接合の結果においては、水素の1分子熱電特性について興味深い結果が得られており、これは当初の計画以上の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次年度の目標としている、1分子熱電特性における電極材の寄与に関して、前倒しでAu以外の電極材をベースとしたMCBJ素子の作製を実施し、その動作確認にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
Au以外の金属材料をベースとしたMCBJ素子を用い、1分子熱電特性測定を実施することで、単分子接合の熱電性能にとって最適な電極材料を明らかにする。すでにPtとCuについては素子作製に成功していることから、当初の計画通り研究を進めることができる見通しは立てられている。
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Research Products
(5 results)