2015 Fiscal Year Annual Research Report
ゲート電界による鉄酸化物薄膜の酸化状態制御と相変化デバイス機能の開拓
Project/Area Number |
15H03567
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤原 宏平 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (50525855)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 酸化物エレクトロニクス / 酸化還元 / 電界効果トランジスタ / 電気二重層トランジスタ / 抵抗変化メモリー |
Outline of Annual Research Achievements |
金属酸化物中で電子集団が創り出す多彩な相(電子相)を電界で制御するデバイス技術とその学理の構築を目指している。電界効果トランジスタ構造をベースに、イオン液体や固体電界質をゲート誘電体に用いたデバイスを作製し、電界による電気・磁気特性の制御に取り組む。研究代表者の異動に伴い、アクセスできる実験装置に変更が生じたため、初年度はデバイス作製に必要な製膜装置の導入・整備、研究対象となる物質の製膜およびデバイス加工条件の調査を中心に進めた。具体的成果を以下に示す。 1.酸化物単結晶薄膜の合成:ペロブスカイト型、ルチル型の酸化物を中心に、トランジスタのチャネルとなる物質の薄膜をパルスレーザー堆積法により作製した。X線回折や原子間力顕微鏡による表面観察などを通して、製膜条件を最適化した。絶縁体金属転移を示す物質において、電気輸送特性の膜厚依存性から、チャネルに適した膜厚を決定し、メタルマスクを用いたプロトタイプデバイスの作製と評価を行った。 2.電界効果トランジスタ構造の作製と評価 ゲート電極に用いるPtを製膜可能なRFスパッタ装置を導入した。酸化物誘電体を用いてPtを電極としたキャパシタ構造を作製し、酸化物層への製膜ダメージが小さいスパッタ条件を決定した。フォトリソグラフィーおよびArイオンミリング装置を用い、1で作製した酸化物薄膜を用いて数十~数百マイクロメートルスケールへの加工を行った。ミリングにより膜および基板表面に生じる酸素欠損を補修するアニール処理を検討し、デバイス作製に必要な一連のプロセスを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクト前半で達成すべき、製膜およびデバイス加工条件の確立に成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も薄膜合成とデバイス作製・評価を相補的に進め、トランジスタ特性の評価から物質・デバイス構造の設計にフィードバックをかける。特に、半導体ヘテロ接合の概念を取り入れた薄膜積層構造により、酸化還元あるいは静電キャリアドーピングによる物性変調が増強されるデバイスの実現に取り組む。当初予定したFe酸化物以外にも有望な系があれば積極的にデバイスへと展開する。
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Research Products
(2 results)