2015 Fiscal Year Annual Research Report
Material design for oxide thin film transistor controlled by anti-doping scheme
Project/Area Number |
15H03568
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
塚越 一仁 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究者 (50322665)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 半導体物性 / 先端機能デバイス / 表面・界面物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代の高精細かつ画期的な省エネ型のディスプレイ実現のため、高移動度かつ高信頼性酸化膜電界効果トランジスタ(OxTFT)を創生することが、本研究ならびに本研究の展開目標である。本研究の具体的な研究開発の目的としては、酸化膜中の酸素原子空孔(Vo)に伴う“乱れ”に着目した基礎物性の解明であり、我々独自の“不安定Voを抑制できる酸化膜”にて、伝導の乱れと不安定Voの相関を明らかにして、新元素構成酸化膜のマテリアルデザインを確立することを目指している。 H27+繰越期間にて、これまでに単層膜の薄膜トランジスタ試作・評価によって、電荷トラップの形成密度は添加元素で制御できるものの、移動度の低下が元素添加によって低下することが、当初の予定に反して生じていることがわかったことを踏まえて、当初想定の従来の単層構造に代えて、2層複合膜の新構造での成膜組み合わせを検討した。この2層積層膜を薄膜トランジスタに加工して、学術的な新規性と実用性の高い素子の試作と評価を行った。 従来の半導体膜を半分の厚さとして、この上に絶縁膜を形成する多層膜を成膜し、絶縁膜の上からソースとドレン電極を形成して薄膜トランジスタとした。この素子は、従来の半導体部位が半分であるにも関わらず、薄膜トランジスタとして充分な電流を流すことが出来るだけでなく、絶縁膜部位が薄膜の構造安定性を高める効果も得られた。 この結果を詳細に解析して、論文としてまとめて、国際誌に発表することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予想できない薄膜特性が研究の途中で得られて、4ヶ月の修正となったが、2層構造の試作と評価によって、最終目標の素子安定化への研究が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
薄膜の構造に関して、原子レベルのボンディング構造を詳細に解明するために、SPring8の共同利用を活用させて頂き、薄膜の安定性・不安定性に関しての知見を得られる計測を行う予定である。安定・不安定は、アニール温度を調整することで、アモルファスフィルムから多結晶フィルムに転位することに着目して、薄膜を系統的に準備して、格子状態を詳細に調べる。この計測に関して、スパッタ成膜にて調整可能なアモルファス薄膜中の酸素欠損密度と結晶化転位の関連ならびに微細構造を俯瞰することで、本薄膜を詳細に知ることが出来るはずである。 この知見を基として、特性の安定性が大きな問題となっている酸化膜半導体の制御法を確立してくことを目指す
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