2015 Fiscal Year Annual Research Report
超高次元データ解析アルゴリズムに基づく呼気診断センサのハード・ソフト双方向開発
Project/Area Number |
15H03588
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
吉川 元起 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (70401172)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ナノメカニカルセンサ / ビッグデータ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、世界的にその実現が切望されている呼気診断センサの実証を目的としている。1,000 種類以上の多成分混合ガスである呼気を的確に識別するためには、センサシグナルから多数のパラメータを抽出して、超高次元データとして取得・解析する必要がある。本研究では、多種多様な受容体を利用可能な汎用性の高いナノメカニカルセンサに着目する。特に、申請者らが最近開発に成功した超小型センサ素子である膜型表面応力センサ(MSS)を軸とした簡便な測定システムを利用することで、各種のニオイデータを網羅的に収集する。ここで得られる大量のセンサシグナルを、最先端ビッグデータ解析アルゴリズムを用いて多角的に解析する。こうして、最先端のハードとソフトを連携させることで、呼気の僅かな違いも判別可能な新センサシステム構築に向けての指針を確立することを目指す。 本年度は、理論モデルを元にしたパラメータ推定による解析を進めた。センサシグナルのモデル系としては、ナノメカニカルセンサで汎用的に用いられている各種ポリマー受容体を被覆したMSSを用いて、様々な単成分ガスを測定した際に得られるセンサシグナルの再現を試みた。その結果、測定対象ガスの濃度が変化した際に観測される、粘弾性効果による複雑なセンサシグナル変化も再現可能であることが確認された。さらに、このようなセンサシグナルから物理パラメータを抽出可能な解析モデルの構築にも成功した。これにより、シグナルを特徴付けるパラメータを、動作原理に基づいて的確に抽出することが可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最新のデータ解析手法に基づいたアプローチだけでなく、解析モデルの構築にも成功したことで、シグナルから物理パラメータを抽出し、吸着や脱離に関する現象に一定の解釈を与えることにも成功したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、ランダムにパラメータを抽出していくのではなく、解析モデルから得られる情報も積極的に利用することによって、一定の指針をもってシグナルを系統的に解釈していく。これによって、重要な情報が含まれる可能性の高い時間領域を集中的に解析していき、判別に有効なパラメータを効率よく抽出することを目指す。また、それらのパラメータとハードウェアとの相関を網羅的に検証する。
|
Research Products
(18 results)