2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H03604
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 直志 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90127118)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新納 和樹 京都大学, 情報学研究科, 助教 (10728182)
吉川 仁 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (90359836)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 計算力学 / 周期多重極法 / Maxwell方程式 / メタマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度はナノポーラスゴールドのモデル作成と,光起電力の計算を優先し,周期多重極法を用いて実験結果を模擬しうるシミュレーションを行うことに注力した.具体的にはCahn-Hilliard 方程式を構造保存型差分法で解くプログラムを作成し,2周期境界条件と上下面の境界条件からナノポーラスゴールドのモデルを作成した.ナノポーラスゴールドの表面は,C-H方程式の解のレベルセットとして捉えることが出来る.得られたモデルの上に境界要素のメッシュを張り,周期多重極法を用いて電磁波散乱問題を解いた.得られた解と自由電子の受ける力に基づいたモデルから横起電力を求めた.得られた結果は石原らの実験結果と定性的によく一致した.しかし,縦起電力は実験結果と良好な対応が得られたとは言えず,今後の検討課題となった.以上の結果は日本計算数理工学会の計算数理工学論文集15巻に「周期多重極境界要素法を用いたナノポーラスゴールドの光起電力解析」と題する論文として掲載された.また,関連する研究成果と併せて,国際会議ICOME2015における招待講演の一部として発表した.さらに,メタマテリアルのトポロジー最適化のための基礎的研究として,板状の構造に円筒形の穴が発生したときのトポロジー導関数の計算をおこなった.理論的計算により表式を得た後,数値計算と比較して結果の妥当性を検証した.周期多重極法の改良の研究としてはMueller型の積分法定式でのNystroem法を検討し,従来法より効率がよいことが分かった.Hdiv内積を用いた定式化はCalderon前処理に問題があり,別の前処理法を開発した.この研究を通して,Hdiv内積型の定式化の利点を有するNystroem法開発の見通しがついた.これらの研究は次年度に継続する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進展に合わせて研究の進め方を少しずつ修正して研究を進めたため,当初の計画とは多少順序が異なって研究が推移しているが,ナノポーラスゴールドのモデル作成は予定より速く進み,既に実験とある程度の整合性のある横起電力の計算結果が得られている.この点に関しては研究が予想より速く進んでいる.また,メタマテリアルの最適設計に関しては一番難しいと考えられる変則的なトポロジー導関数の計算と検証が既に概ね終了し,順調に研究が進んでいる.一方,周期多重極法本体の改造に関しては基礎的な研究に手間取ったことと応用的なテーマの結果を得ることを優先したため,予定より遅れぎみである.以上を総合すると,全体としては概ね順調に推移していると言って良いであろう.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として,次年度は新しい周期多重極法の研究に取り組む.その際,当初の計画のようにKIFMMの考え方を参考にして研究を進めることを基本とするが,Mueller型の積分方程式におけるNystroem法の効率が良かったことも考慮して光起電力の解析に適した解法を選択する.さらにHdiv内積型の定式化とNystroem法の併用の実装に向けた研究を進める.応用的な研究としてはメタマテリアルのトポロジー最適化の研究も優先的に行いたい.以上は当初から予定された研究内容であるが,併せて最近得られた知見も反映して,研究内容を大きく変えない範囲で推進方向に修整を加えてゆく方針である.たとえば,波動問題の解の挙動の定性的理解のために複素固有値問題を解くことが有効であることが最近分かってきているが,この問題への応用に不可欠な,パラメータ(周期,Floquet波数など)に関する解析接続を求める計算も同時に行いたい.併せて,高速直接解法等の新しい研究の進展にも注目するなど,柔軟に研究を推進する方針である.
|
Research Products
(2 results)