2016 Fiscal Year Annual Research Report
albebraic analysis and representation theory
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15H03608
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柏原 正樹 京都大学, 数理解析研究所, 研究員 (60027381)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 表現論 / 量子群 / 箙ヘッケ環 / 不確定特異点ホロノミック系 / 圏化 |
Outline of Annual Research Achievements |
表現論は対称性を研究する数学の一分野である。古典的な群、リー環などをもちいた対称性の研究から、量子群、ヘッケ環、箙ヘッケ環等の新しい言葉を用いたそれまで扱えなかった対称性の研究へと、その研究の領域が拡大している。これらの表現論における新しい方向をさらに進めて、代数・幾何等を総合的に用いた研究を行った。 また不確定特異点型ホロノミック系に対するリーマン・ヒルベルト対応を帰納層の概念を用いることにより、定式化できる。この理論を深めるため、フーリエ変換などで、どう帰納層が振る舞うかを調べている。 さらに具体的には次のような成果があがった。 1. 量子アフィン代数の表現論を、箙ヘッケ環を用いて調べることに成功した。その鍵は、R-行列で、それを用いて、箙ヘッケ環の表現のモノイダル圏から量子アフィン代数のあるクラスの表現のモノイダル圏への関手を構成することに成功した。これは、いろいろな場合が考えうるが、対応する箙の向き付けに対応して関手を構成することができた。 2. 不確定特異点型ホロノミック系に対するリーマン・ヒルベルト対応で、ホロノミック系に対応するt-構造を帰納層の側で定義することに成功した。そのため、t-構造の定義を大きく拡張することが肝要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R-行列を用いた箙ヘッケ環によるモノイダル圏化がある程度進展したこと、不確定特異点線形常微分方程式に対応する帰納層のラプラス変換がある程度わかったことから、おおむね順調に進展していると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 対称でないカルタン行列の場合の量子座標環のクラスター代数構造を箙ヘッケ環の表現を用いたモノイダル圏化についての研究を続行する。とくに、表現や、不変量に一変数付け加える事(アフィン化)をもちいて研究を進める。 2. 不確定ホロノミー系に対応する帰納層の超局所的性質を研究する。不確定ホロノミー系については、超微分作用素の環を用いることにより、その超局所的構造が詳しく調べられているが、リーマン・ヒルベルト対応で対応する位相的対応物に超局所的性質は未だ研究されていないので、これを調べることは、将来の発展が見込まれる。
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