2016 Fiscal Year Annual Research Report
Uniformity of Zeta Functions
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15H03612
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
翁 林 九州大学, 数理学研究院, 教授 (60304002)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゼータ函数の特殊統一性 / 非可換ゼータ関数 / 翁ゼータ関数 / 弱リーマン予想 / 幾何截断 / Arthur 解析截断 / 算術 G Torsor / 特殊 Weyl 元 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年の研究の重点はゼータ函数の特殊統一性と翁ゼータ関数の弱リーマン予想であったのだが、取り組んだいずれのテーマに対しても、すさまじい進展を得ることができた。詳しく説明すると、まず、フランス高等科学研究院 (IHES) のLafforgue 教授の力をお借りして、既約群 G に対する、有限体上の曲線の主 G 束安定性による幾何截断と、G の ADELIC 空間上の Arthur 解析截断が一致することを証明した。また、マックス・プランク数学研究所 (MPIM) に移った後、いわゆる「放物 REDUCTION、安定性とMASS」予想を解決することに成功した。加えて、それらの代数体の類似を理解し、算術 G TORSORS を導入すると同時に、キー小森ー鈴木ら翁ーゼータの LIE 構造とその弱リーマン予想に関する議論の中で設けていた、「ある定数は零ではない」という条件を取り除くことにおおむね成功した。まだ、MPIM にて、Zagier 教授とともに有限体上の曲線の非可換ゼータ関数と SLn ゼータ関数に関するゼータ 函数の特殊統一性の論文を完成させ、その上、彼と以前完成させた有限体上楕円曲線の非可換ゼータ関数の リーマン 予想の論文を改訂し、有限体上の曲線の非可換ゼータ関数という系列論文を書き終わらせることができた。これらの結果を踏まえて、「MODREN THEORY OF ZETA FUNCTIONS AND THEIRZEROS」と題した本のたたき台となる最初の版が書き終わり、その中には代数体の非可換ゼータ函数と既約群 G とその極大放物部分群に伴随する翁ゼータ函数の定義の始め、非可換ゼータ函数とSLn に伴随する翁ゼータ函数が一致するゼータ関数の特殊統一性、代数体版の「放物 REDUCTION、安定性と体積」予想と証明、および、翁ーゼータの弱リーマン予想に関する結果を全部収録されている。まだ最終版に至るには時間がかかるが、収録されている内容は豊富で、ゼータ函数の理論を近代化にする大きな一歩となるものであると自負している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ゼータ関数の統一性と翁ゼータ関数の弱いリーマン予想は、我々が現在取り組んでいる研究プロジェクトの中心的な部分である。今年は、安定性を用いた幾何学的切り捨てと、一般的な既約群のアーサーの解析的切り捨てとの間に重要な関係を確立し、大きな成果を得ることができた。これは、つまりは有限体上の曲線上のベクトル束の安定性と、SLn のADELIC 空間に関連するアーサーの解析的切り捨てに関する Lafforgue の結果の一般化である。算術幾何学のこの結果は、私たちの研究において重要な役割を果たすだけでなく、保形形式や跡公式を含む数学の多くの分野において基本的なものである。このことを用いて、私たちは、プロジェクトでの重要な予想の一つである、いわゆる「放物 REDUCTION、安定性と質量」を確立することができた。さらに、幾何学的な安定性の切り捨てと Arthur の解析的切り捨てとの間のこの種の橋渡しによって、キー小森ー鈴木ら翁ーゼータの LIE 構造と翁ゼータ関数の弱リーマン予想に関して「ある定数は零ではない」という条件を取り除くことにおおむね成功した。以上の事柄全てに加えて、長い期間延期してきた、有限体上の代数曲線の非アーベルゼータ関数とその Weng ゼータ関数についての特別な統一性に関する問題を MPIM の Zagier とともに完成させた。なお、この作業を行なっていく中で、WALL-CROSSING や HALL 代数の理論の結果を使用する必要があった。最後に、これまでに得られた結果あるいは発見した構造を説明するために、「ゼータ関数とその零点の現代的理論」に関する本を書き始めた。本書では、関連する古典理論を想起させるだけでなく、保形形式や跡公式、代数群、LIEの構造、算術幾何などの数学のさまざまな理論と代数体の非可換ゼータ関数あるいは一般的な既約群に付随する Weng ゼータ関数の関係を説明している。これは、様々な分野におけるゼータ関数理論を近代化させた結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のテーマとして、次の四つが挙げられる。つまり、(1) ゼータ 函数の特殊統一性の研究。 (2) 非可換と可換ゼータの統一性について。 (3) モチーフ玉河数予想で、主安定束の研究での Atiyah-Bott による幾何的方法と Harder-Narasimhan による数論的方法を統一すること。 (4) 異なる次元のゼータの統一性について。 その中でも特に、ゼータ関数の特殊統一性と非可換ゼータ関数と翁ゼータ関数の弱いリーマン予想は、この研究プロジェクトの中心的な部分てある。ここ十数年の間に、これらの課題に関して様々な研究の進展があった。特に、代数体のゼータ関数の特殊統一性と「放物 REDUCTION、安定性と体積」予想を証明し、キー小森ー鈴木ら翁ーゼータの LIE 構造と翁ゼータ関数の弱リーマン予想に関して「ある定数は零ではない」という条件を取り除くことにおおむね成功している。故に、今後は前述の成果をまとめたいと考えている。具体的には、来年にまず、翁ゼータ関数の弱リーマン予想を証明し、「ゼータ関数とその零点の現代的理論」に関する本を書き終わらせる予定である。すでに、たたき台となる最初のバージョンを書き終えているが、現在把握している時点ですでに多くの要改善点が存在するため、それらを改定するために時間が必要になっていると考えている。また、これを機会に非可換ゼータ関数と翁ゼータ関数の基礎を定め、ゼータ関数の特殊統一性を確立し、代数体の非可換ゼータ関数と翁ゼータ関数の弱いリーマン予想の証明をわかりやすい形で書き終えたいと思う。さらに、時間に余裕があれば来年、なければそれ以降に、 代数体の非可換ゼータ零点の Δ 函数の分布とリーマンゼータ零点の δ 函数の分布の統一性を発掘し、関数体上の既約群の loop 群に関する理論と関数体上の既約群の非可換ゼータ関数と翁ゼータ関数の類似点を探しだし、異なる次元のゼータの統一性を研究することができれば幸いである。
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Research Products
(2 results)